第106話:従姉妹
凛音目線___
「凛音!」
「猫音!」
「明後日退院でしょ?」
「そう!だけど、もう元気なんだけどな。」
私たちはあの後違いに呼び捨てで呼ぶようになり、本当に従姉妹らしくなってきた。彼女はりんごを持ってきてくれたけど、剥くのは私だ。りんごを剥き終わり、何気ない感じで
「どうだった?」と聞く。
今日は彼女が学校に呼ばれて処分を聞かされる日だった。
「とりあえず停学。」
「どれくらい?」
「半年。」
「そっか…。」
「退学か無期停学じゃなかっただけ良かったと思う。凛音たちが交渉してくれたおかげ。」
「はい、これ。」
お皿に盛ったりんごを猫音側に寄せる。
「ありがとう。」
「おじい様はなんて?」
「退学にしてくれって頼み込んでた。まぁ確かに先生生徒共に重傷者が複数…。しかも一条の権力を使って言うことを聞いた生徒がそれだけ居たことも大和…いや、軍にとってはかなり衝撃的ではあるわよね。」
「まぁ半年の停学だったら普通辞めない子いないもんね…猫音はでも残るの?」
「私は…とりあえずしっかり考えようと思う。」
「そっか…。もし帰ってきたら2人でなんとか単位取らないといけないね。4年生にはなりたくないしね。」
と笑うと
「そうね。…凛音。」と真剣に思っている
「ん?」
「本当にごめん。謝っても謝りきれないけど、許してなんて言えないけど…。」
「いいよ。もう何回も言ってるじゃん?先輩たちや桐谷先生とかを傷つけたことは許せないし、許すことはないけど…。私たちが本当に従姉妹になったこととは別だって。」
「…ありがとう。」
家族とは互いに言いきれない。二人とも家族というものがよく分からないから。だから従姉妹という微妙な関係性になることにした。従姉妹というか友達に近いけど。
「玄は?今日来てないの?」
「玄は今日は予定があるみたい。」
「結局主従関係から友人になったの?」
「主従関係は変わらないまま、友達というオプションが追加されたような関係よ。」
「友達ねぇー。」
「何よ。」
「別にー。」
「それならあなたは神咲先輩とどうなっているのよ?」
「蒼桜にいは…お兄さんみたいな感じかな。」
「ふーん。」
「よく分からないんだよね。蒼桜にぃは先輩でもあるし、幼馴染に近い存在でもあるし、安心するけど何か違うの。」
「何か違う?」
「何が違うか分からないけど、恋人って感じはしないかな。好きだけど。」
「てっきり付き合う寸前だと思っていたわ。」
「そんなわけないよ。」と笑うと、
「付き合うつもりは?」と食い気味に聞いてくる
「ないかなー!」
「ふーん。」
「何?」
「別に。お皿洗ってくるわ。」
逃げられた…。何か知ってそうな顔をしているけど、聞き出せそうにもないし、どうしたもんかな。外は明るく、木が少し揺れている。葉っぱのない木は少し寒そうで、もうすぐ秋が終わるみたいだね。
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