第91話:生きろ

桐谷目線――

 最近の疲れから日曜だが雨音と遊ばずに寝ていた。雨音には寂しい思いさせてしまうな…。安曇は我関せずって感じだけど。妻は本当によく理解して世話をしてくれるが、一度良くなりかけたはずの凛音ちゃんはここ数日で日に日に弱っていっている。天気の影響かひどくしんどそうだ。本当は病院に連れていくべきなんだが…今連れていけば容疑者として監視下に置かれるし、暗殺の可能性も否定出来ない。相手は一条家だから、周囲が一条家に取り入ろうとして勝手に殺したなんてありそうな話だ。知り合いの医者に診察を少しして貰っているが、入院するべきだと言っていた。ひどい貧血に体力の衰え…多分PTSDもあるし、その影響で記憶喪失も見られる…か。本人のことを思えばどっちがいいのか分からない。

「はっ…はっ…。」

「凛音ちゃん…?」

 寝ていたようで、凛音ちゃんの苦しそうな声で目が覚める…。体を起こし心臓を抑えながら荒い息で呼吸をしている。

「落ち着いて…!」

 体を支えるが、震えが止まらない。いつもより酷い気がする。俺の声で自体を把握した妻が雨音に声をかけ、部屋に行かしている。

「怖い!!」

 悲鳴のような声はいつもとは違っていた。もしかして…。

「大丈夫、ここは安全だから。」

「私…。」

 何かを言おうとした凛音の体が1回大きく跳ね、さっきよりひどく震え出す。

「凛音ちゃん、深呼吸しよう。」

 このままでは危ない。過呼吸を起こし、息が吸えずそのまま痙攣をしたまま腕の中で重くなる。このままじゃ…

「救急車!」

 凛音ちゃん、生きるんだ…!

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