第68話:引越し
凛音目線__
「何これ…。」
そんな言葉しか出てこない見事な豪邸。そこでおじいさんとおばあさんとお手伝いさん達が待っていてくれた。午前中家の案内をされたけど、広くて覚えられそうにない。最低限の部屋だけ覚える事にした。昼はおじいさんとおばあさんとご飯を食べると、同級生の従姉妹も住んでいると教えて貰った。今日は居ないとか。部屋に案内されやっと一人になると安心感が襲ってきて眠くなる。夢を見ていたみたい。夢は高校の楽しかった記憶。ふと目を覚ますと夕陽が差し込んでいる。あ、夕方か。
「凛音様…。」
ベットの側で控えている人。
「もしかして、玄さん?」
「はい。」
前羅希先輩と捕まった時に助けてくれたうちの一人だと聞いている。
「この前はありがとうございました。」
玄さんは不思議そうな顔をしてこっちを見る。
「上からの命令でしたので。」
「そんな敬語じゃなくて大丈夫!確か同級生でしょ?」
おじいさん、おばあさんから聞いた。
「それは命令ですか…?自分は凛音様のお付きとして付くことを命じられました。…命令でしょうか?」
これは命令と言わなければきっと聞いてくれないのかな?
「お願いってことにしてほしいけど、きっとそれじゃ聞いてくれないよね?なら、これは命令!普通の同級生としてため口で話そう!凛音様ってのも無しね!凛音って呼んでいいから!」
「…了解。」
「じゃあこれからよろしくね、玄君」
「よ、よろしく。」
そんな二人の会話を部屋の外から聞いていた人がいることは私も玄も知らなかった。
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