第35話:空気

蒼桜目線_____

 八方塞がりか…。何かっ…!

「はぁっ…はぁっ…。」

「あれ?お仲間は助けてくれないみたいだね!」

 くっそ…。

「姉ちゃんっ!」

「奇龍…あんたなんでそんな顔するのよ…。」

 奇龍もこれ以上は待てない。

「さぁ、仲間の目の前でもう一度聞こうかな?」

 これはもう奴の心臓を狙うしかない。幸い羅希は下だ。巻き込まない。奴はゆっくりとスイッチを持った手をまた上にあげ―――

「二人だけで来たと思ってるの?」

「っ!!」

「っ!まだお仲間がいましたか!」

「動くと僕のバズーカで身体吹き飛ぶよ。」

「形勢逆転だな!」と護身用の拳銃を向け近づく奇龍。

「さぁ、どうする?」

 俺もゆっくりと距離を狭める。

「蒼桜君!左の腕章!凛音のスイッチがある!」

 っ!!

 その瞬間迷わず打った俺の銃弾はまっすぐ腕章を撃ち抜いた。

「痛っ!!」

 左腕を抑え込み膝をつく奴。さっきの衝撃で羅希のスイッチを落としたのを拾おうとする。

「動くなっ!今度は心臓を打つぞ!」

「あーあ、あと少しだったのにな…。」

 座り込み苦笑いするやつにもう一発お見舞いしようかと思ったが、まだ早い。次は凛音だ。

「姉ちゃんっ!生きてる!?」と急ぎ縄を外す奇龍に

「縁起でもない。生きてるに決まっているじゃない…。」

「羅希大丈夫?」

 奴から目を離さないようにして言う。

「うん…。班長、凛音はあの先。こいつの声紋と指紋が必要になるよ。」

「ということで行こうか。」

 雨梨と俺で警戒しながら扉に指紋と声紋をさせる。

「瑞樹。」

「やっと出番ですか?」

「うん。お待たせ。」

 …来るぞ。

 ゆっくり開く扉。

「動くなっ!武器を置けっ!」

 向こうも臨戦態勢だった。でも何より視界に入って来たのは…凛音!頭から出血してる!?

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