第22話:結局

羅希目線____

「先輩!お待たせしました!」

 凛音と奇龍が到着したのは班長が馬を連れてきた少し後。

「大丈夫だよ。凛音を含めたこれからの神咲班の並びは左前方に雨梨、右前方に奇龍、左後方に羅希、中央凛音、右後方俺だ。」

「「はい!!」」

「うちらの班の位置はどの辺りなの?」

 そもそもこの地形だと陣形も絞られるだろうけど、

「今回は鶴翼の陣で迎え撃つ。」

 鶴翼の陣ね…。

「鶴翼の陣?」

「鶴翼の陣っていうのは!」

「そういう説明は雨梨に任せなさいよ。」と奇龍の下手な講義が始まるのを阻止したら奇龍が不満気にこっちみている。

「鶴翼の陣は受け手の陣とも言われている…。鶴翼の陣は鶴が翼を広げているような陣形で相手は僕らの後方に回れない。かといって相手は正面に突っ込んできたら挟み撃ちにあう可能性があるから端から攻めて行くことになる。端の役目の班は中央からしか仲間に助けてもらえない。だから端から崩される危険がある。

 少人数でやる陣形向きではない。」

「その鶴翼の陣の中央寄り二列目が俺らの班の位置だよ。多分今回鶴翼の陣になったのは少人数なのを気づかせない為だと思うよ。」

「鶴翼の陣は少人数でやる陣形向きではない。それが常識だから逆に少人数でやったら相手はこちらの人数が多いように感じるから。」

 蒼桜君や司令塔からの話だと騎馬隊が退却してとりあえず一般兵団が最前線にいるけど、友軍の損害は激しいみたい。理由は多分相手は最新兵器で攻めてくるからかな。だから守りに入って相手の軍が疲れたところを攻める作戦ね。

「凛音、大丈夫。俺らが凛音をサポートするから。でも戦場では何が起こるかわからないから、最低限自分の身は守ること。いいね?」

「うん。」

「凛音、困ったらすぐ俺たちの名前を呼べよ!助けにいくからさ!」夕焼けを背景にして振り返り笑う奇龍は高校生らしい。

「凛音大丈夫。でも気は抜かないでね。」雨梨も凛音に慣れたみたいだし。

「今回もこれから先も絶対みんなで一緒に帰ろうね!」

「はい!」



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