第14話:兄貴分と過去と
羅希目線――
「凛音どうだった?」
私は外で心配そうに待っていた蒼桜君に首を横に振る。
「そうかぁ…。」やっぱ兄貴分だから心配だよね…。
「凛音昔いじめられていたのは知ってるだろ?学校だけじゃなかったんだ。」
「学校だけじゃない?」
「凛音の実の母は幼いころ亡くなって、凛音が小学生の時に父親が再婚したんだ。それで最初はうまくいってたようだが弟が生まれた途端いじめられるようになってな。」
「父親は?」
「父親は新しい奥さんに夢中で…。仕事も忙しいし、表向き仲のいいように見せてたみたいでね、気づかなかったんだよ。今でも気づいてないみたいだし。そしてその頃から学校でもいじめられたんだ。」
想像以上の凛音の過去に言葉を失う。父親にすら守ってもらえなかったんだ。
「俺が初めて凛音を見た時、凛音は泣いていたんだ。でも何故か俺はすごく綺麗な子だと思った。なんか芯に強いものを持ってそうでね。俺はあいつはどんな逆境でも乗り越えられる力を持っていると思うのさ。」
だから大丈夫。そう蒼桜君は自分に言い聞かせているようだった。
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