第一章 初めての勝利
『よし試合やるぞエレン今すぐ準備運動だ』
気持ちが抑えられず早くもエレンと試合をしようとするアウゼス。だが今回はいつものように事は運ばなかった。
『えー今日も見てるだけーつまんないよー』
『じゃあどうしようか』
四人の子供たちはそれぞれ違ったポーズで考え始める。すぐに案が出ないのかエレンたちに数分の時が流れる。
『こういうのはどうかな、まず僕とゼルでペアを組むアウゼスはアリスと。僕がアウゼスと試合をするのは変わらないけどゼルは魔法でアリスは回復で援護する。ゼルはウォーターボール以外の魔法は使用禁止、アリスはエクス級の魔法は禁止。二人とも魔法の発動準備は呼ばれてから、ただ最初の魔法は呼ばなくて大丈夫。ゼルとアリスは狙わず勝敗は僕が倒されるかアウゼスが倒れるか。これでどうかな』
『おー面白そうだなそれやろうぜ』
『うん僕も賛成!』
『エクス級魔法じゃなきゃどの魔法を使ってもいいんだよね?』
『うん大丈夫だよじゃあお互いのチームに分かれようか』
川を挟んでの二対二の試合だ。
『アウゼス作戦を考えましょ』
『そうだな、ちょっと無茶な作戦で行くぞ。俺が最初に名前を呼んだら限界まで魔力を込めたヒールを発動できるようにしてくれ短期決戦で行く』
『わかったけど大きな怪我はしないでさせないでね』
『わかったよ』
一方その頃エレン達の方は
『ゼル僕に当たるとかの心配はせずどんどん魔法使っていいよ』
『え、いいのー?じゃあ気にしないで狙っていくね!』
『後こうゆうことできるかな?』
アウゼスとは違いエレンは少し工夫を凝らした作戦を立てたようだ。
そうしてお互いのチームは勝つために作戦を練っていく。アウゼスとエレンに隠れてはいるが案外アリスとゼルも負けず嫌いのようだ。
お互い準備ができたようで次第に緊張が空気を伝わってあたりを支配していく。
試合の開始は誰かが宣言をするというわけではなく自然と始まった。
試合開始と同時にアリスとゼルが魔法を唱え、エレンとアウゼスが身体強化をする
【ウォーターボール】
水でできた球がアウゼスに向かって発射されていく、その数10個。
【ラスティングヒール】
体力と傷が持続的に回復される魔法だ。アリスが使う聖属性というのは回復魔法に長けており、ほかの属性の回復魔法より魔力効率 回復力 魔法の多彩さすべての面で勝っている。
それに続いてエレンとアウゼスが走り出す。だがアウゼスの方にはゼルのウォーターボールが放たれており、アウゼスは少し様子をうかがいながらといった感じだ。
アウゼスは体を捻り木剣を腰に持っていく。自分に向かってくるウォーターボールを木剣水平に振るいすべて切るためだ。
だがそれと同時にウォーターボールが進む方向を変えだし、五個はアウゼスの胴体 二個は足元 三個はアウゼスの前にある川に向かっていった。
『何!?』
予想とは違った展開に驚くアウゼス。エレンと衝突する前にウォーターボールを素早く処理してしまおうという作戦が裏目に出た。
『アリス!回復魔法の準備!』
『了解!』
(今から体勢をを変えるのはさすがに間に合わない、このまま切るのが一番ましか。だけどさっきの作戦通り崩撃を放つんじゃ防戦一方になる)
腰に持っていった木剣を持つ手に力を込め目の前まで迫ってきたウォーターボールを水平に切り剣技を放つ。
【月波!!】
中級剣技月波は魔力を込めた強力な斬撃により、剣を振った後斬撃の風を飛ばす技だ。剣の風には魔力も込められておりただの風と片付けれないほどの、とてつもない威力を宿していた。
アウゼスの月波から生まれる風はウォーターボールを切ったため、エレンの胴体に飛んでいかず足に向かっていった。
(さすがアウゼスそう簡単にはいかないか)
少し飛ぶことによって風をよけ全力で走る。ウォーターボールを避けたアウゼスに追い打ちをかけるためだ。
(ウォーターボールを避けて無理な体勢でエレンと戦うのはさすがにまずい!)
そう思いアウゼスは無茶な作戦に出る。ウォーターボールをそのまま食らったのだ。水でできているとはいっても生身で当たったら打撲、当たり所が悪ければ骨折する程の威力だ。
だがそこで先程から魔力を練っていたアリスがアウゼスの援護をする。
【ヒール】
時間をかけて練り上げられた魔法は従来のヒールより高い効果を発揮する。その魔法のおかげで何とか体勢を立て直すアウゼス。
(痛!!!こんなに痛いのかよ。さすがゼルの魔法だな。だがアリスのおかげで何とかなったぞ)
だがその瞬間体に大量の水がアウゼスにかかり反射で目を閉じてしまう。川にウォーターボールが突っ込んだからだ。
(ミスった!)
急いでエレンの方に視線を向けるがもうすでに遅くエレンが剣を振りかぶっていた。
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