第6話 能力確認
朝食は全員で食べるそうで食堂に移動してきた。
食堂は僕たちが泊まっていた城の本館の隣に一つの施設として独立して建てられている。
食堂に向かう途中、城からの渡り廊下を渡っている最中に窓からは既に業務を始めている兵士たちを見ることができた。
たどり着いた食堂は天井が高く作られており、高さはマンションの三階くらいまであろうかというほどだ。
床の広さも同じくサッカーコート半面分位の広さがあり、中央にレッドカーペットが敷かれ、その両サイドに木製の長机と椅子が壁際ギリギリまで並べられていた。
壁の上方には窓があり、朝日を取り込んで食堂全体を明るく照らしている。
材質が白い石であるため、朝日を浴びて白く反射しているため神秘的にも見える。
僕たちは、既に集まりつつあるクラスメイトたちのいる机に座ると並んで空いていた二席に華奈と共に座った。
それから数分がして、全員が揃って食事が始まった。
朝食は、固めのパンと牛乳、そこに目玉焼き、野菜・フルーツとソーセージの乗ったワンプレート。
見た目上は“地球”とは、ほとんど変わりないが野菜やフルーツなどはこちら特有のもので、パンもまだ技術が生まれていないせいか固い。
だが、これはこれで美味しかった。
全員が食べ終わると食器をメイドたちが片付けていった。
そして、今日の説明が始まる。
今日は、ギルドと呼ばれる組織の人を呼んで説明することがあるそうだ。
説明を行う女性は全員から見える位置でしゃべり始めた。
「皆さんには、各々のステータスを確認して頂きます。
スターテスとは、各個人の能力や実績のことを言います。
そちらを確認してこれからの魔王討伐に協力していただけるかの判断をして頂きたい、とのことです」
「それの確認はどうやるんですか?」
ステータスと言う異世界召喚とは切っても切り離せないだろう要素が出てきたせいか、オタクの生徒の一人がそう質問の声を上げた。
ギルドの女性は苦笑いしつつも問いに答える。
「これから皆さんの冒険者証を作成します。
冒険者と言うのはこの世界で一番大規模な組織で、ほとんどの街に支部を持っています。
冒険者は住民の互助組織のようなもので、街の美化や悩みごとの解決。
また、人々に害を成す魔物の討伐などをおこなっております。
それの構成員となると発行されるのが冒険者証で、登録者のステータスをそこに表示されることができます。
ステータスはその人の本名、種族、年齢、レベル、後はその人物の持つ特殊能力としてスキルと、その人物を示す称号の総称です。
また、こちらがこの世界の基本的な身分証の一つとして扱われます」
クラスのオタク集団から歓声が上がった。
ただ、それはギルド職員を困らせてしまい、慌てて先生が謝りつつも止めに入る。
少しして何とか全員が再び静まって説明が再開された。
「では皆さん、こちらにお集まりください」
全員が立ち上がり、ギルド職員のところに集まる。
一列に並ぶと、専用の魔道具を使ってそれぞれの冒険者証の作成が始まった。
冒険者証の二枚目は作ることができないので僕は<隠密>などの<スキル>を駆使してその時間をやり過ごす。
そして、三十分ほどでクラス全員と先生分の作成が完了した。
「それでは皆さん、検討をお願いいたします。
また、最大六名のパーティーを作って頂くつもりですので頭に入れておいていただければ幸いです。
何か質問がございましたら個別にお答えいたします」
クラスメイトたちはいくつかの集団に別れてステータスの見せあいなどを始めた。
けっこう早く決断するところもあれば、かなり考え込んでいるところもある。
僕と華奈はステータスは既に分かっているうえ、<偽装>で誤魔化してもいる。
また、隠れて別行動をするつもりだったのでここで参加すると手を上げるつもりは無い。
それから三十分して全員の決意が固まった。
結果として、クラス四十人の内の十七人が参加することになる。
「それでは、魔王討伐に参加される皆さんはこれから魔王の討伐に出発されるまでに出来る限り力をつけていただく予定です。
ドゥルヒブルフ様の予想によりますと魔王の活動再開まで大体五か月ほど。
十分な時間がございますので焦らずに訓練をおこないたいと思います。
これ以降は討伐隊と待機組は分かれて行動していくことになります」
討伐隊参加を決めたクラスメイトたちは迎えに来ていた騎士に案内されて訓練場へと移動していった。
待機組はこのまま続きの説明を受けることとなるそうだ。
ただ、向こうの準備がまだなようで少しの間の空閨となった。
「凪君、向こうに行った人たちのステータスはどうなの?」
「そうだね……、かなりいい方かな。
けっこう期待が持てると思うよ」
全員のレベルは大体Lv4~7の間に収まっていて、一番高い人でLv13。
Lv7であれば、この世界だと十二歳と同じ位。
普通に生活していてもレベルアップに必要な経験値が入ってくるのだが、本を大量に呼んでいたり様々な習い事をしたことがある人なんかは経験を得る機会が多いためレベルが高い傾向にある。
「じゃあ軽く説明するよ」
始めに説明するのは今回の主役ともいえる勇者のいるパーティーだ。
今回は、勇者に認定されたのは一人でそれ以外は勇者のサポーター的な扱いである。
勇者のパーティーは男子二女子三で男子が前衛職、女子が後衛職で綺麗に分かれていた。
少し後衛に戦力が寄っているが総じてバランスは良い。
戦力もここが一番でそれぞれが強力な固有<スキル>も持っていた。
名前:藤堂狩也
種族:人・17歳
レベル:9
<スキル>
剣術Lv5 槍術Lv3 武術Lv3 弓術Lv1 直感Lv4
威圧Lv1 探知Lv2 無属性魔法Lv2 無詠唱Lv- 並列展開Lv2
魔力操作Lv3 武器生成・聖Lv2 剣魔法Lv- 限界突破Lv-
ストレージLv- 言語適応Lv-
称号:異世界の勇者 異世界からの召喚者
<剣魔法>
剣に関する特異魔法属性。
<限界突破>
三分間自身の全能力を超大幅に上昇。
使用後は少しの間動けなくなる。
<武器生成・聖>
光属性を持った武器を魔力で作成可能。
<ストレージ>
重量・容量無制限で時間経過の無いの自身の収納空間を作成する。
【異世界の勇者】
全ての能力が大きく上昇する。
【異世界からの召喚者】
全ての能力が少し上昇。
<言語適応>を付与。
全ての能力と言うのは、攻撃、防御、素早さ、魔力、体力の五項目をで、これらはゲームと同じように能力を数値的で示している。
これは、ステータスの隠しパラメータと言う形で全ての人に存在しているのだが、真美さんの説明ではこれらの能力は感情などですぐに上下する数値でかつ今出せる最大値を示す。
そのため、僕であれば確認できるが確認は無駄であるということで、基本的には確認していない。
ただ、バフなどの強化・弱化はこの数値をもとにしておこなわれている。
また、【異世界からの召喚者】の称号は僕と華奈以外の全員に付与されている。
そのうち、<言語適応>と言うのは耳にする言語が自動的に自身の理解できる言語に変換され、口にした言葉が相手の理解できる言語に変換される。
また、文字に対しては読む際には変換の補正が入るが、書く際には変換されないと言うものだ。
そして、残りの四人は特筆すべき部分を抜き出していく。
名前:坂上舞
<スキル>
聖魔法Lv4 無詠唱Lv- 聖域作成Lv-
称号:聖女
<聖域作成>
自身を中心とした半径25mの支配領域を作成する。
味方単体への補助効果を領域内全ての味方へも分配する。
【聖女】
聖魔法の魔力消費量を少し軽減。
<無詠唱>を付与。
名前:神谷里音
<スキル>
魔性魔法Lv5 並列展開Lv5 相乗強化Lv-
称号:補助者
<相乗強化>
単体対象の<魔性魔法>を付与した時、同じ相手に別効果の<魔性魔法>を付与した際に双方の補助効果が大きく増加。
【補助者】
<魔性魔法>の魔力消費が少し減少し、補助効果が増加。
名前:福村碧
<スキル>
天候魔法Lv3 台風の目Lv-
<台風の目>
任意で味方への<天候魔法>の干渉を無効化する。
名前:関暮人
<スキル>
武術Lv8 衝撃波Lv- 浸透打撃Lv-
<衝撃波>
打撃攻撃時に衝撃波を飛ばすことが出来る。
<浸透打撃>
打撃攻撃時に相手の防御を無視してダメージを与える。
第二のパーティーは全員男のオタク三人。
こちらは火力特化になっている。
名前:田中海人
<スキル>
天魔法Lv7 嵐魔法Lv6
名前:山本蓮
<スキル>
剣術Lv7 火魔法Lv4 斬撃Lv-
<斬撃>
剣での攻撃時、魔力による刃渡り増加。斬撃の衝撃波を飛ばすことができる。
名前:坂本通
<スキル>
槍術Lv6
《大権》
執念
《執念》
体力が少ない時に発動可能。
一定期間の間、全能力が大幅に増加し被ダメージが減少。
※制限:24時間に1回のみ発動可能。
第三のパーティーは打って変わって女子三人のみ。
元の世界では財閥や大企業のお嬢様であった。
名前:有月華
<スキル>:護身術Lv9 風魔法Lv6 土魔法Lv7
《大権》
月下の華
《月下の華》
月が出ている時、全能力が大幅に上昇。
※制限:月が沈んでいる時、全能力が減少。
名前:雨宮桜
<スキル>
弓術Lv7 天魔法Lv3 風魔法Lv6 必中Lv-
<必中>
着弾地点が視認できる時、必中する。間に障害物が入ると無効化される。
名前:二条結葉
<スキル>
光魔法Lv9 闇魔法Lv9 焦点強化Lv-
<焦点強化>
複数対象の補助魔法の対象が単体のみになる代わりに補助効果を大幅に強化することができる
最後となる第四のパーティーは全員が幼馴染で組んだようだ。
男子三人女子三人の六人。
ここには面白いスキルを持った人が集まっている。
名前:日村一輝
<スキル>
雷魔法Lv7 マップLv-
<マップ>
自身を中心に3キロメートル圏内の地形・物・生物の簡易情報を取得し地図を作製。
確認は自身のみ可能で目の前に半透明パネルが出現しそれを操作する。
一度マップを確認したことのある場所は、その場所に居なくても確認が可能となる。
名前:三上真
<スキル>
暗器術Lv4 必中Lv- 透明化Lv-
<透明化>
発動から10秒ごとに魔力を消費して自身の体と装備品を透明化する。
名前:望月勇介
<スキル>
大剣術Lv5 縮地Lv3 短距離転移Lv-
<短距離転移>
魔力を消費して自身の視認できる場所に転移する。
名前:青木芽生
<スキル>
地魔法Lv5 精霊魔法Lv-
<精霊魔法>
妖精・精霊と契約を行い、契約した妖精・精霊に魔法発動の指示を出せる。
また、自身の魔力を消費して妖精・精霊を実体化させることが可能。
妖精・精霊は基本自然界の魔力を消費し魔法を発動する。
名前:高森葉月
<スキル>
盾術Lv6 光魔法Lv4 城壁展開Lv-
<城壁展開>
自身が盾装備時、魔力を消費し盾の延長線上に高さ10m横幅20mまでの障壁を展開できる。
サイズによって消費魔力が変わる。
名前:皐月春美
<スキル>
弓術Lv6 水魔法Lv3
《大権》
導き
《導き》
発動時に、指定した事象のこれからの可能性・動き思い通りに導くことができる。
※制限:自分より格上の存在の可能性や生み出したもの(魔法など)の動きを導くことはできない。また、発動可能回数は3回で消費時より24時間ごとに1回復する。
「大権保持者が三人もいるし、勇者も固有スキルを複数持ってる。
けっこうな豊作だと思う。
安心して良いと思う」
「よかった~」
「そうだね」
とそこで、城に努めている役人がやってきてこれからの説明を開始した。
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