第1話《禁忌の月たち》



村から少し離れた草原を必死で走り抜ける…6人の人影。

それぞれの複雑な想いを胸に必死で夜闇の中月明かりだけの道無き道をひた走る。


先頭を走るのは青い髪の少年。体力があるのか息一つ上がっていない。


その少年に続き中性的で無表情な少年が走る。息はあまり上がっておらず自分たちを追いかける者が後ろに迫って居ないことに気づく。


そんな少年に次いで走るのは見た目は穏やかそうな薄紫色の髪をひとつにお団子にした少女。少しヒールのあるサンダルで走るのは足が痛かったが構ってられなかった。


そんな少女のあとを2人の少女が走る。遅れて1人の少年が走る。


2人の少女のうち1人は金髪の髪をなびかせ走っているが…息が上がり走るのもやっとの様子だった。


もう1人の少女は真っ赤なウェーブの髪が綺麗な少女。すぐ後ろに走る少年を心配そうに見つめる。


そして最後尾を走る茶髪にくせっ毛の少年は必死にみんなに追いつこうと走る。






クー✩まってぇ!もう走れないよ!!



最後尾を走る少年…クーの声にみんなが振り返る。

クーのすぐ目の前を走る真っ赤なウェーブの髪の少女…リュヌが声をかけ走るのを促す。



リュヌ✩頑張って走るの!!逃げなきゃ!



そんな声に中性的で無表情な少年…ダルが先程から感じる追いかけられていない現状を告げる。



ダル✩いや、逃げなくてもいいかもしれない


ダルの言い方が曖昧だったためか薄紫色の髪をお団子にした少女…セレネが問いかける。



セレネ✩どういうこと?



それを察した金髪の少女…ユエが息が上がりながらダルが選ぶべきだった言葉をみんなに告げる。



ユエ✩追われてないってことよ



そして1番先頭を走っていた少年…カマルが呆れた顔をしてみんなを見る。



カマル✩そーゆーことは早く言ってくれよ



その瞬間…

どこからともなく先頭を走っていたカマルの前に現れた人影がふたつ。シルエットはまるっきり同じ。違うのは髪の色と表情だけ。髪型はロングで腰のあたりまであり、先だけ広がらないように少し結いでいる。


少女たちのうち1人はいたずらっぽく笑顔を携えて笑う。水色の長い髪に吸い込まれそうな碧い瞳。


もう1人はムッとしていて無表情というより機嫌が悪そうに見える。ピンク色の髪に同じように吸い込まれそうな碧い瞳…

けれどこちらの瞳は何故か一瞬心なしか揺れてた。何かを悔いるように…そしてすぐ何事も無かったように真っ直ぐな瞳に戻る。




ルア✩誰に追われてるの?ふふふ


ルナ✩追いつかれてるだけだよ?




少女たちの声に3人が反応する。


どうして追いつかれたんだと言わんばかりに少女たちを見据えるカマル。

誰一人追い越された記憶が無いのに何故か目の前に現れた2人に少し恐怖を覚えるリュヌ。

追いかけてきた2人に理由を尋ねるクー。


カマル✩ルナ!ルア!


リュヌ✩そんなっ!


クー✩ルナ姉もルア姉もどうしてそんな意地悪するの?!



黙っているセレネに答えを促すように不敵に笑うルア。



ルア✩どうしてかな?ねぇ?セレネ?



眉をひそめ…口を開くセレネ。



セレネ✩っ…。禁忌を犯したから。



まるで6人だけが禁忌を犯したとでも言うように…碧い真っ直ぐな瞳のルナがもう一度告げる。



ルナ✩そう。禁忌を…



ルナとルアが現れてから沈黙していたダルが草原をひた走り逃げていた自分たち6人だけが禁忌を犯した訳ではないことを再確認するようにルナを問い詰める。


ダル✩自分たちもだよね?



ダルのその問いにさらに被せるリュヌ。不安と怒りをぶつける様に声を上げる。


リュヌ✩そうよ!!私達と同じでしょ?!


静かに追い詰めるように問いただすダルといつもよりトゲのある言い方で問い詰めるリュヌ。そんな2人をなだめる様に…ユエが口を挟む。


ユエ✩それは違うわ。ダル、リュヌ…





*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*


皆さんこんにちわ。

☪︎Once in a Blue Moon☪︎小説版

第1話 《禁忌の月たち》いかがでしたか?小説版ではnanaの声劇ではなかった情景描写などが含まれております。

nanaでは2016/11/14スーパームーンの日に第1話が公開されております。


夜闇を走っていた6人は禁忌を犯して逃げていた。それを追ってきた2人こそこの物語の主人公。双子のルナとルアなのです。


さて、1話の最後の方で双子たちも禁忌を犯したとされていますが…一体どうなっているのでしょうか?同じように禁忌を犯したのならみんなで逃げてしまえばいいのに…


次回

第2話 《月たちの決意》


それでは皆さんふたつめの満月をこえて、またお会いしましょう。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

小説版☪︎Once in a Blue Moon☪︎ ぴよ @obm910

現在ギフトを贈ることはできません

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ