あれっ?君ってそんな感じ??

タンパク質

第1話

4月、入学式──それは新たな生活が始まる知らせである。

これまでと違う環境で人間関係が構築されてゆく。新しい友達、もしかすると可愛い彼女だってできるかもしれない。

俺こと東夏樹はそんな期待に胸を膨らませていた。



もう⋯⋯駄目⋯だ。これ以上一歩だって前に踏み出すことが出来ない。ゼーハーと息を切らしながら額から滴る汗を拭う。

どうしてだ、なんで⋯なんでこんな事になってしまったんだ。


そう──寝坊しました。


俺は明日への新たな出会いに胸を膨らませすぎた為、なかなか寝付くことができず、部屋を掃除し、そこからゲームや読書で眠気が到来するのを待ち、布団に入ったのが夜中の4時。

そして今朝、目覚ましを寝ぼけ眼で停止させ、二度寝を決め込んだ挙句、昼の12時にカーテンの隙間から差し込む太陽さんに遅めのモーニングコールを頂いた。

入学式の開始は1時。俺は布団から勢いよく飛び起き、朝の支度ならぬ、昼の支度もそこそこに家を飛び出した。


幸いな事に家から学校までの距離は歩きで30分とそう遠くないため、全力で走れば15分ほどで学校に着くことができるだろう。寝坊をしても余裕を持って登校する。俺の計算は完璧だった。

が、しかし自分の体力を計算に入れていなかったため、全力疾走開始2分で失速。途中、コンビニに寄り、昼食を購入し、虫の息で歩き続け、ようやく学校が見えてきたところで気が抜けてしまい、今に至る。


腕時計で時間を確認すると12時35分。

結局30分かかってしまったが、なんとか入学式には間に合いそうだ。俺は未来の華やかな高校生活を想像し、自分を鼓舞しながらなんとか校門前まで到着することができた。

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