第35話 プールでデート?

「明日、友達とプールに遊びに行こうと思ってるんだ。」

朝食の時に、マイマにそう言うと、

「いいけど、誰とかしら。ライラちゃん? それとも昨日の子かしら。」

と返ってきた。

「うーん、返事がまだだから学校から帰ってから話すよ。」

僕は朝食を食べると、いつもより早く家を出た。



「おはよう。」

なるべく元気良く、昨日のことなど無かったかのようにライラに挨拶する。今日は僕がライラが出てくるのを、そうとわからないようにこっそり待ち構えていた。

「お、おはよー」

ライラは少しびっくりしたみたいだけど、挨拶は返してくれた。

「いっしょに学校に行こうよ。」

僕はつとめて明るくよそおった。



「あのー、昨日のメールのことだけど。」

歩き出して少しすると、ライラが話しかけてきた。昨日送ったメールに返事はこなかったので、僕からは言わないでおいたけど、こうして話してくるということは脈ありだろう。

「うん。良かったら明日の休みにプール行こうよ。」

「うーん。いいけどー。」

「やった。じゃあ約束だよ。」



教室で座ってると、タニタが登校してきた。

「おはよう。昨日はメールありがとう。」

「あ、おはよう。」

タニタが小さな声で返事をした。昨日の家では良くしゃべったけど、学校では無口少女だな。

「僕からもメール送ったんだけど、読んでくれたかな。」

「ん、読んだけど。」

「どうかな、みんなでプール行かない?」

タニタは考えている。僕はプールに行こうというメールをライラとタニタの両方に送った。この二人同時にプールに誘うというのが、自ら災いを呼び寄せるようでいて、案外といい案ではないかというのはラノベなどの鈍感主人公ならどうするのかというのから思いついたことだ。つまり意識していないからこそ二人同時に誘ったりできるのだ。

「まあ今日中に決めてくれればいいから、考えておいてよ。」

と、なるべく気軽な感じでタニタに言う。もうすぐ授業が始まるからだ。



給食を食べ終わって、食器を廊下に返しに行く。そのまま廊下でタニタが出てくるのを待った。タニタにもいっしょにプールに来て欲しい。でないとライラと二人きりになってしまうので、仲が進展しないための対策を考えないといけない。

タニタが出てきた。その後ろからライラまで一緒だ。これはどうしたら、いや一緒でいいのか。


「やあ。」


二人に均等に向いた感じで声をかける。


「なあに。明日の話?」


と反応したのはライラ。タニタもこっちを見てはいるけど、黙ってる。


「うん。タニタもプールに行くか決めてくれたかな。」


「んーと。」


とタニタ。まだ迷っているのか。あまりしつこく誘うのもあれだけど、自然な感じで追加の勧誘が出来ないかなと考えてるところへ、


「お、女の子に囲まれてモテモテだな、カンカ。」


と教室を出てきたドンドに声をかけられた。そうか、いっそのこと。


「あー、明日の休みにみんなでプールに行こうって話してたんだよ。よかったらドンドも一緒に行こうよ。」


と誘ってみた。女の子とプールに行くのではなく、皆で行く。最初からそのつもりだったような感じで、ドンドにも誘いをかける。


「へー、いいね。行くよ。」


ドンドはあっさりと了解した。


「タニタも行こうよ。」


と言うと、うなずいた。やった。


「じゃあ集合時間とか決めよう。僕の計画としては…。」






**********************************

登場生物まとめ


カンカ:僕の一時転生を受け入れてくれた男の子。鈍感主人公。

ライラ:カンカの幼馴染。眼鏡っ子。

タニタ:カンカの左隣に座ってる女子。無口。マンガ好き。

ドンド:カンカの右隣の男子。運動が得意で泳ぎも得意。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る