1.肆:館の強き主

 レトウス、アザリガ、ロウトウ、アリナ、アカリ。

 彼らともう一人で六媒師となる。

 その六人目を除いた彼らは今回、館に霊を祓いに参上した。

 予想外の強敵はいたものの、今のところは順調に祓えている。

 今のところは……。

 アザリガは一体目を倒し、皆の援護へ。

 他の四人はそれぞれ遭遇した怪物を相手している。

 そして全員は、こう感じていた。

 館の奥には……強き主がいる。

 でなければここまで平均値より強い化け物は現われない……と。

 果たしてこの館の奥にはどのような大物がいるのだろうか。

 俺が知らないところでの闘いは、もう少しだけ続く。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


『第二形態突入』


 アカリは構え、突進を決行する。


「食べさせろおおおおおおお」


 怪物はアカリに襲いかかったが、すぐに足を止めた。

 アカリが消えていたのだ。


「ふふふ」


 怪物は気がついた時にはもうアカリは後ろにいて、人工爪で怪物を斬っていた。

 真っ赤な斬撃が怪物を刻む。


「ぬおおおおお」


「抵抗しても無駄なんだよ。進化の称号を持った私にね」


 しかし、怪物は起き上がる。

 その再生能力は異常だった。


「俺に……喰わせろ。お前を」


「残ね~ん。貴方じゃ私に敵わないんだよ!!」


『第三形態突入』


アカリは紅いオーラを身にまとった。


「『神家の竜巻』!」


 館の一部を吹き飛ばす竜巻が、その怪物を巻き込んだ。

 そして怪物は倒されたと思ったが……。


「ううう」


 しかしまだ怪物は倒されていなかった。

 なぜなら……


「なら、本気を出してやろう。お前を喰うために」


 本気ではなかったから。


「え?」


 ドカーーーーーン


 大きな爆発が辺りを巻き込んだ。

 アカリが戦っているのは進化系の生物、アカリと被っていてそのような生物は少ない故に、アカリは不意を突かれた。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 そして一方、奥では一体の怪物がほくそ笑んでいた。

 強き者が来る……それを直感で感じ、楽しみにしていたのだった。

 その怪物の名前は……。

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