偽装の恋人 男カップルと女カップルが互いの恋人を交換しあってカモフラージュしちゃった
@rakugohanakosan
第1話 二組の理想のカップル 其の1
ここは、
「まあ、ご覧なさって。
「本当だ、すごい。二人とも、お似合いだなあ」
「まったくだわ。高長君は、メンズファッションのモデルみたいに長身で、すらっとしてて、そのくせ、顔なんか驚くほど小さくて。いったい何頭身あるのかしら。その小さいお顔がまた、どこかの国の王子様、と言った具合の
「そのお相手である、草深さんだって、ちっとも引けを取っていないよ。モデル並みの高長君と比べても、何ら
「いやいや、まさにこの毎野高校のベストカップルね」
「何を言っているんだい。確かにあの二人は、素晴らしい男性と女性だけども、この毎野高校には、もう一組、素敵な男の子と女の子がいるじゃあないか」
そして、そう話に上った、もう一組の男女のカップルの周りでも、周囲がささやきあっています。
「あちらにいらっしゃるは、
「ほんと、あなたの言う通りね。それにしても、実に仲が良くて、見ていて気持ちの良くなるお二人じゃない」
「千沙川さんって、アイドルみたいで、とってもかわいらしいんだよなあ。小柄で、小動物みたいな愛らしさとでも言ったらいいのか。あの、
「それを言うなら、古賀本君だってそうよ。あの、いつまでたっても、少年の心を忘れていないような、無邪気な元気の良さ。背の高さだけを見ちゃったら、小柄な部類に入っちゃうかもしれないけど、逆にそこが、子供みたいで、思わず頭をなでたりしちゃいたくなっちゃうのよ。高校生にもなる男の子に、かわいいなんて失礼かもしれないけど、やっぱりかわいいのよ。ううん、たまらないわ」
そのように、二組の男女のカップルの周りがざわめいていると、その話の
「わっ、秀君と、澄さんのお二人じゃん。相変わらず美男美女でお似合いだね。恋愛映画のスクリーンから、主役の男優と女優が飛び出してきたみたいだよ」
そんな明の誉め言葉を聞いて、秀も同様に、明と祥子の二人を称賛するのです。
「何を言うんだい、明。君たちだって、
そう言って、秀が明と祥子の仲の良さを、たとえると、祥子が照れ臭そうに答えます。
「やめてよ、秀君ったら。澄さんと、こんなに似合ってる秀君にそんなこと言われたって、秀君と澄さんの仲がうらやましくなっちゃうだけだってば」
祥子の答えを聞いて、澄が一つの提案をします。
「それじゃあ、祥子さん、明君。これから四人で、例の部屋に行かない? わたしと秀君、そして、祥子さんと明君の二組の恋人が、どれだけ、ぴったりの恋人であるかを、話し合いません? 秀君もそれで構わないかしら?」
澄の提案に、祥子、明、そして秀の三人が賛成します。
「それいいですね、澄さん。ねえ、明、そうしようよ」
まず、祥子がそう同意すると、その祥子のパートナーである明も、それに従います。
「祥子がそう言うのなら、俺もそうするよ。秀、お前はどうする」
明にそう言われて、秀はこう答えます。
「三人がそうすると言うのなら、僕だけしないというわけにはいかないな。ご同行させてもらおう」
こうして、二組の男女のカップルが、その場を去っていきます。後に残された、他の生徒たちは、口々に噂しあうのです。
「また、あの四人が例の場所に行くんだって」
「そうみたいだね。あんなに理想的な、二組の男女が、四人でどんなことを話すか、一度でいいから聞いてみたいなあ」
「みんながそう思っているわよ。だけど、恐れ多くて、とても近づけやしないわよ」
「生徒どころか、教職員だって、あの四人が一緒にいると、ついつい、距離をとっちゃうもんね」
「誰にも邪魔されない、あの四人だけの秘密の場所かあ。何をしているんだろう」
「知りたいけど、私達みたいな凡人には、とても想像がつかないようなことをやっているんじゃないかしら」
周りの生徒や教職員さえも、近づかせずに、秀、明、澄、祥子が、”例の場所”と呼ぶ場所で、たびたび何かをしているようなのです。
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