第114話 金髪美人


 刀和は必死で泳いだ!

 ひたすらアカシに向かって泳いだ!

 

 なぜなら……


『待ってぇ♪ 相棒がじっくり話したいんだって♡ ねぇねぇ! おっぱいの大きい子は好き? 』

「それは大好物ですけど今は良いです! 」

『急げぇぇェェェ!!! こいつは本気だぞぉぉぉぉ!!! 』


 必死でクラゲ晶霊の足止めをするヨミと必死で逃げる刀和。


ビュン! ビュン!


 すぐ後ろまで触手が飛んでくるのを感じながらひたすら泳ぐ刀和。


『ねぇねぇ♪ わたしの相棒はちょっと君より背が高いけど腰は細いし胸はおっきいし超~~~~~~~~~美人なのよ♪ あなたもそんな人と合体したいでしょ? 』

「合体したいけど今は良いです! 」

『とってもお似合いだと思うんだけどなぁ~……だからちょっとお話しましょ? 』

「絶対不釣り合いだから良いです! 」


 とにかく必死で逃げる刀和。

 慌ててヨミが追いかける!


『戻れ! お前まで狙われるとは計算違いだった! 』

「だろうな! 」

! 』

「なんだよそれ! 」


 刀和がくるりと半回転してヨミの元へ戻ろうとする!


「ヨミ! 」

『来い! 』


 ヨミが伸ばした手が刀和を掴むその時だった!


ぱしっ


 呆気なくクラゲの触手が刀和の足に絡まった!


『あっ……』


 ものすごく悲しそうな声を出すヨミ。


「いやだぁぁぁぁぁぁあぁぁっぁぁぁ!!!! 」

『刀和ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 』


 悲痛な叫び声を上げながら刀和を必死に掴もうとするヨミ。

 だが、触手はするすると避けて動き回り……


しゅるるるるる!


 あっという間にクラゲ晶霊の腹の前に引き寄せられる刀和。


『はい♪ 連れてきたわよ♪ 』


 クラゲ晶霊がそう言うとお腹からむにょんと一人の女性が現れた。


「…………へっ? 」


 刀和が呆けたような声を上げる。

 

 現れたのは確かに超美人だった。


 金色の艶やかで長い髪は刀和の身長と同じぐらい長く、顔は非常に整っていた。

 それも整形のような合成めいた美しさではなく、自然な美しさをしている。

 頬は真っ赤に上気しており、見るからに興奮している。

 この世界の女性らしく、白拍子のような服を着ているが、普通は水干すいかんと呼ばれる服の下に下着として単衣ひとえを着けるのだが、この女性は単衣を着けていないので横から乳がかなりはみ出している。

 女性の胸が大きいこともあって色っぽい服だ。


(ごくり……)


 思わず生唾を飲み込む刀和。


(こ、こういう服の着方が好きなのかな……)


 すると、クラゲ晶霊が声を上げる。


『あらいやだ。単衣ひとえを脱いで大胆な恰好♪ ムーったらかなり本気ね♡ 』


 どうやら誘惑のために脱いだようだ。


「…………」


 何も言わずに刀和の頬を撫でる金髪超美人。

 

「はぁ……はぁ……」


 息を荒げてさらに頬を紅潮させて刀和を撫でまくる金髪超美人。

 一方、刀和は困惑していた。


「あ、あの……もしもし? 」

 

 困惑する刀和を無視するように撫でまくる金髪超美人だが、おもむろに刀和の手を取り……


むにゅ


 水干すいかんの下の豊かな乳房に触らせる!


「揉んで……」

「は、はい! 」


 むにゅむにゅと金髪超美人の乳を揉む刀和。

 すると刀和の方にも変化が起きた。


ちゃーちゃちゃー♪ ちゃーちゃちゃー♪ ちゃらららーん♪(ガン○スター発進テーマ)


 段々と刀和のガン○スターが大きくなっていき、狩衣を破らんと雄々しく立った!

 それを見て驚いて目を見開く金髪超美人。

 だが、うっとりとした目でとろけるような声で言った。


「エッチしたい? 」

(ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!!! )

 

 おっぱいばぃーん♪

 腰きゅっ♪

 お尻ばーん♪

 金髪びじーん♪


 の4連コンボに新たに艶っぽい囁き声に刀和の心はもはや蕩けていた。

 目の前の女性が敵であることも忘れて惚けてしまう刀和。


『良かったわね♪ 相思相愛みたいね♡ 』


 どこを見て言ったのかはあえて言わないが嬉しそうなクラゲ晶霊。

 刀和も流石に誘惑に負けて答えてしまいそうだった。


「し……」

「し? 」


 ものすごく期待した眼差しで刀和を見つめる金髪超美人。

 だが、その時だった!


『刀和~~~~!!! 負けるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!! お前には瞬がいるだろぅぅぅぅ!!! 頼むからその女だけはやめてくれぇぇぇぇぇ!!!! 』


 悲痛なヨミの叫び声に我に返る刀和。

 そしてすぐに断言した。


「したくない! 」

「!!!!!!!!!!!!」


 ショックを受けて泣きそうな顔になる金髪超美人。

 刀和が辛そうな顔で胸から手を離しながら言った。


「僕には好きな子が居るんです! その子以外考えられないんです! 」


 股間をおっ立てたまま、説得力ゼロで言う刀和。


「だからすみません! 無理です! 」


 目をつぶって血の涙を流しそーな勢いで謝る刀和と泣きそうな金髪超美人。

 ぷるぷると悔しそうに震えている金髪超美人だがクラゲ晶霊が声を上げる。


『ムー! 連れて行きましょう! きっと長い時間かけたらムーの事を好きになってくれるわよ! 』


 それを聞いてぱっと顔を明るくする金髪超美人。

 おもむろに刀和を抱きしめたまま、お腹へ入ろうとする!


『刀和ぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 』


 悲痛な叫び声を上げるが、クラゲ晶霊の触手の威嚇で近づけないヨミ。


 その時だった!

 

どげしゃぁっ!


 突然現れたアカシのドロップキックを顔に受けるクラゲ晶霊!(0.5秒)


むにょん!


 それと同時にお腹から瞬が飛び出して金髪超美人をぶん殴る!(0.8秒)


ゲシィ! パシッ!


 瞬は金髪超美人が手を放すと同時に刀和の襟首を捕まえ……ようとして間違えてガン〇スターの方を掴む(1.5秒)

 一瞬、嫌な顔になるが気にせずにそのまま力を入れる瞬と幸せな顔になる刀和(0.7秒)

 アカシは何も言わずに瞬の足を掴む!(0.3秒)


「どっせい! 」


 瞬は刀和を(ガンバス〇ーを掴んで)ヨミの方へと投げ飛ばした!


ドシャァぁぁぁ!

スタン……


 無様に転がるクラゲに対して華麗に着地を決めるアカシ。

 瞬の足を放してお腹に戻すアカシ。


『刀和ぁぁぁぁぁ!!! 』


 刀和が返ってきたことで号泣するヨミ。

 クラゲ晶霊は立ち上がって言った。


『そんな! あんな遠くからどうやって! 』


 ウマカイの屋敷は曲輪作りになっており、山肌を広々と使っている。

 特にアカシが居たのは一番遠いところだったので遠目で見てもすぐに来られる距離では無かった。


 アカシはふらつきながらもこう答えた。


『能力に目覚めたからよ……加速が使えるみたいね……』


 汗をダラダラ流しながらアカシはこう答えた。



用語説明


 加速


 様々なものを高速で移動させる能力。

 結構ありきたりの能力ではあるが、使う人次第では強力な能力である。



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