第47話 窮地


一方でリューグでは危険なことになっていた。


「はなしてぇ! 」

「へっへっへっ……」


 瞬は何人もの男に囲まれている。


『シュ――――――――――――ン! 』


 アカシが海賊たちに完全に抑えられており、瞬は海賊に捕まっていた。


(あたしが逃がそうとしたばっかりに! )


 アカシは迂闊にも瞬だけを逃がそうとお腹から出したのだ。

 だが、こんな状況で人間が一人だけ出ても捕まるだけである。

 アカシにはそれがわからなかった。


ゲシッ!


『大人しくしろ! 』

『あああ!! 』


 殴られて苦しそうに呻くアカシ。

 一方でトヨタマもボコボコに殴られていた。


『お前も早く中身を出した方が良いんじゃないか? 』

『誰が! 』


 トヨタマはこんな状況でもオトを出そうとしない。

 危険さがわかっているのだ。


「アカシ! アカシィィィィ!!! 」

「おっと! もう中には入れさせやしねぇよ! 」

「俺達が中に入れるんだからなぁ! 」


 ぎゃははははと笑う男達。


「放せぇ! 」


 瞬が手を振りほどこうと暴れるのだが……


「うるせぇ! 」


 ゲシっ!


 男のゲンコツが瞬の顔に当たり、瞬の顔が鼻血だらけになる。


「大人しくしてろ! そうすれば気持ち良くしてやるんだからなぁ! 」


ゲシゲシゲシ!


 そう言って男が何回も瞬の顔を殴る。


『やめて! それ以上殴らないで! 』

『お前は黙れ! 』

『あぅぅぅぅ!!! 』


 悲痛に叫ぶアカシの頭をさらに殴るサンケ。

 一方で男たちに殴られた瞬の顔は見る間に腫れあがり、酷い顔になる。


「おっと、やりすぎちまったなぁ……そろそろやるか」


ビリビリビリ


 瞬の服をビリビリに破いてしまう。

 あっという間に裸になり、体には少しの布が絡まっているだけになった。


「いいねぇ……綺麗だよ……」


 ぎゃはははと笑う男達。


「……たすけて……」

「あ~ん? なんだってぇ? 」


 男の一人が瞬に向かって耳に手を当てて挑発する。

 挙句にわざとらしく耳をほじってからもう一度耳に手を当てる。


「……刀和……助けて……」

「助けてだってよぉ! 」


 ぎゃはははと笑う男達。


「ばっかじゃねぇの! もうお前の仲間はいねーっての! てめぇを助ける奴はどこにもいねぇんだよ! 」


 男たちの高笑いが辺りに響いた。

 

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