僕は素直になれなくても彼女は素直すぎる
ぱーぽーいえろピンク
《第ゼロ話》変わり者の彼女
四月七日。どういうわけか少しだけ遅れて始まった僕らの入学式。
高校生になる僕らは、不安と期待が混じった表情で式に臨んでいる。
誰もが揃ってキッチリとした佇まいをしている。
「
「はい。」
僕も前のクラスに倣って返事をし起立する。人より大きいからか、他の人のつむじがよく見える。中学で規制されてる人が多かったからか、大抵の人は髪をおろしている。
「
そしてこの最高の状況下での入学式に、ひとつだけ疑問点がある。僕の隣の席の人がいない、のだ。
入学式早々にやらかす人なんていないと思うし、多分欠席なのだろう。地元から離れているから知り合いはゼロ。友達になりたいと思っていたのに、残念。
先生はキョロキョロと辺りを見渡し、首を傾げて次の人の名前を呼ぼうとする。
「はい!!!!宵月です!!!」
息も絶え絶えになりながら、保護者とかがいるところから声が聞こえる。まだ幼い中学生のような声だった。
ザワッ、とみんなが驚く。僕もみんなと同様、後ろを振り返る。
「寝坊しました!!!」
まるで悪びれる様子もない満遍の笑みで、異常なほど小さい彼女がいた。
これが僕と彼女の最悪な出会いだった。
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