第6夜今度こそお仕事ごとごと


えー……っとですね、あのクソジジイ事件から一、二時間ほど。

日は高く上っていて、朝が遅いこの吉原?からしたら、まだ早い時間なんだろうけど…。



「(たぶんもう、十一時半ごろかなぁ…)」



相変わらず私は部屋に一人残されている…



「来夏ちゃん、ごめんッ!!」

「「すみませんでした!!」」



訳ではなく。何故か同期三人組に頭を下げられている。


花蓮は。

寝間着のまま放置して悪かった。

双子は。

恥ずかしいところを見てしまって悪かった。



ん?私って今、恥ずかしい格好なの?

寝間着、だよ?



「来夏、お前、知らないのか?」

「何が?」

「寝間着のままの姿が何を意味するのか」

「知りません」



あ、あれ?昨日より滑舌良くなってない?

噛まなくて、済むかも…っしゃ!



「はぁ〜……そうか。知らなかったか」

「おやじ様のせいですよ」

「仕方がないだろう。まだ来て一日なんだ」

「寝間着のままって何が悪いんですか?」



思い切って自分から聞いてみる。



「あー…チビのお前さんにはまだわからんかもしれんが…まぁ、要は、誘ってる…みたいな?」

「誘う?」

「女が、男を…うん」

「あ」



そう言う意味だったのですね。わかりましたよ。



「まぁ、そこらへんは兄さんや姐さんたちに聞きな。それよりも花蓮。早く着替えの仕方を教えなさい。飯抜きにするぞ」

「にゃ!?」



…花蓮って猫っぽい。



「ららら来夏ちゃん、来夏ちゃんにはこっちの白糸が使われた服が良いと思うよ」

「わぁ…光って見える!」



本当に。キラキラ光って見える。



「着方を教えるね!」

「あ、はい」




「無理、覚えらんない。頭破裂する」

「ゆっくり覚えてけばいいよ。手伝うから」

「うぅ、花蓮〜!」

「よしよし」



確信した!やっぱ花蓮はお姉さん属性だ!



「さ、仕事行こうね」

「はい!」
















「「千華姐さま!」」

「その声は花蓮と来夏だね。お入り」

「「失礼します!」」


カタッ


「早くからご苦労様。先程までは騒がしかったけれど、何かあったの?」

「おやじ様がやらかしまして」

「あら、それは大変だったわね。二人とも、ご褒美をあげましょう」



いや、おやじ様がああいう扱いを受けるのは、いつものことなの?


もう一度言うけどさ、あの人私らの雇い主よ?



「ご褒美!?」



ご褒美という言葉に、一番に反応したのは花蓮。


今、この部屋には私と千華姐さまと花蓮しかいないので、大丈夫だろうけど、他に人がいたら驚いたのではないだろうか。



「えぇ、内緒よ?…はい、金平糖」

「わぁぁ…!!」

「金平糖ですか…甘い匂いがします」



でも、そっか。この時代?じゃ、甘味は高級品だよね。

そうだとしたらおやじ様、よくあんなに飴玉持ってたな。



「食べ終えたかい?」

「はい!」

「はい」

「なら、お前さんらの仕事だよ」

「「はい!」」



どんな仕事をするんだろう。すごく楽しみ!



禿っ子の生活一日目。


仕事。

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