そして俺は○○になりました。

FM

そして俺は…

ああ…そう言えば俺は何になりたかったのか…。


色々な事をやって来たと思う。


本を読むのも好きだったりしたし、稚拙ながらも物語を作って友人と世界を作り合ったりもした。


酒が好きだ。

カッコいいしモテるんじゃね?…と思ってバーテンダーになってみた。

バーテンダーがモテる訳じゃない。

カッコいいバーテンダーがモテるのだ。

気のいいお客に飲まされて先に潰れたらしく、翌日やんわりとクビになった。


覚えてないが何かしでかしたのだろう。


格闘技、強いのはカッコいい!

空手、ボクシング、テレビで見ながらテンション上がって自分に軽くパンチしてみたら気を失った。

痛いのは嫌です。

筋トレなんかもしてみて、筋肉痛の心地よさにハマりかけた処で深夜アニメにハマり、気がつけばコンビニバイト先での重鎮だ。


そこで知り合ったバンドマンと深夜アニメの影響で音楽とかやってみたりして…


なんだかんだで遊びの範囲でライブなんかしてみたり…。

お客さんなんて入らない。

時間の合う友人がカラオケを聴く感覚で遊びに来てくれて、打ち上げの方が盛り上がる…

そういうものだと理解した頃に、それは起きた。


グダグダになりいつの間にか皆と逸れ、俺はひとり路地裏で寝落ちた。



コンクリートだかなんだかわからないが、ヒンヤリと心地よい地面の感覚。

爽やかに流れる風。

緑の香り。

草を挟んだヒンヤリとした土の感触…



コンクリートどこ行った!?



気がつけばそこは草原。

辺り一面壮大な景色が広がっていた。


問題ない。

これは夢だ。


飲みつぶれて路地に横たわった。

それは間違いない。

リアルな感覚はあるけれど、たまにある意識を持ちながらある程度なら自分で何とか出来る夢。

…楽しみながら始発でも待つか…。

そして夢の中、なんの目印すら存在しない原っぱを数時間歩き続けて動けなくなって泣き出した頃に、とある大きなパーティに拾われて何とか生き延びた。


俺の夢なのに、助けてくれる人がいるなんて!!




…何てことも今となっては懐かしい話。

数ヶ月経ってもその夢は覚めることなく今でも続いている…。

今ではこちらで出来た、というか草原で拾ってくれたパーティで知り合った、いわゆる冒険者達と簡単なクエストを熟しながら日々を何とか生きている。


なんでもこの世界の精霊や妖精たちは極稀にだが、暇を弄ぶとイタズラに強力な魔物を作ってみたり、異世界につながる扉を開いては俺のような人間をこちら側に迷い込ませて遊ぶらしい。


…しかも壮大な労力を費やして、姿を消しても大して影響のなさそうな人間をわざわざリサーチして!

…大家さん、困っただろうな…。


そして、魔法も使えない、武術の心得も漫画やアニメで見ただけの役立たずに出来る仕事は…

各地で精霊たちによって発生した魔物達の討伐!

…に向い不幸にも帰って来れなくなった冒険者達の身内だったりの依頼で遺品を拾いに行って届けたり、死体が動き出して町を襲ったりしないようにキチンと供養、埋葬したり…

後は所謂…墓荒らしや火事場泥棒のような事をして貴重なアイテムを世界に流通させる手助けをしているコンビニエンスな弱小冒険者だ。


そして、墓掘り屋…とも呼ばれている。


そんな仕事だから一つの町に腰を据える訳にもいかず、この広いのかそうでないのかもわからない世界を転々としながらの生活を強いられているのだが、実はそれ程いやでもない。


多少金銭もかかるが、さすがは魔法のある世界!

少ないが転移ゲートなんて物も有るし依頼の範囲なら必要経費にして依頼主に請求もできる、。

そうやって世界を飛び回るのは楽しい。


元の世界では混ざれなかった世界と言う物に混ざれている気がする。

そんな事を考えながらクソ重たい荷物を背負い気を紛らわせていると前の方から仲間の声が聞こえてくる。


「あんた、またブツブツと一人で喋りながら…気が散るのよ!なんならこの荷物運

 んでみなさいよ!

 異世界から来た勇者様なんでしょ!?」


勇者がこんな事している訳ないだろう!

それに勇者とは勇敢に何かを成し遂げた人の事をいうのだ。

しかも来たのでも何でも無い、紛れ込んだだけだし今でもこれは夢だと信じている。


で、目の前で宙に浮き、頭の上の方で結んだ長い黒髪をなびかせ、生活道具一式を積んだ馬車を浮かせる彼女はリア。

竜人と呼ばれる、その昔ドラゴンと人間が心を通わせて生まれた希少種族らしい、鍛え上げれば非常に魔力の高い人種との事だが…もちろん本人のレベルによる。

こんなパーティにいるのでもちろんレベルは低い。

とは言え、頑張った時の破壊力は頼りになるので、生死の分かれ目程のピンチの時は

頼りになるが…基本、活躍できない弱いパーティの荷物運搬役である。

そして、種族的には物を運搬する仕事が好きらしく、戦闘能力は高いのだがそれよりもそちらにプライドを持っていてこの世界での主な移動手段である馬車を引く馬に異常な程の敬意を持ってるらしい。

ちなみに、背中から生えた小さな羽をパタパタさせてはいるが、もちろんそんなものでで飛べるわけもなく…実際は魔力で飛んでいる。

竜人の中では魔力を使う時に出る、よくある癖のようなものらしい。




俺「なんだよ、だいたいなんで馬車がいるんだよ

  こんな岩だらけの山登るのに!?

  馬めっちゃテンパってんじゃん!

てか荷台はいるけど馬だけでもいらんだろう!

  麓の村に帰してやったほうが気も休まっただろうに…。」


そう、このクエスト、休火山の上に観光地として栄えた、温泉を売りにしているごくごく小さな国の依頼なのだ。


リア「温泉街にいくのよ?この子も長旅の疲れを癒やしたいわぁ♪

   その為にならあたしは頑張れるの!だから邪魔しないで!」


だから、馬のきもち!

しかもゲートで移動してきた山の麓から少し離れた村で山の登り口までのつもりでレンタルしたての馬車で、その馬も長旅なんてしてない!

てか馬の入れる温泉なんてあるのか…?


「ん…あなたはいちいち小さいことにうるさい。

ゆっくり眠れない。」


そして、浮いた馬車の荷台からひょっこり顔をだしたこの女はシュミカ。

いわゆるジト目、ローブを纏いいかにも魔法使いっぽい聖職の少女。

見た目は白魔道士だが中身は黒魔導を極めていそうな俺の天敵だ。

初めてのクエストで会った時はときめいたものだが…その実は大変な怠け者でたまに毒を吐き暇さえあればろくでもないイタズラを考え、ちょっかいをかけてくる。

ちなみにさっきから俺の進行方向に釘を落として踏ませようとしている。

誰が踏むか!


俺「悪かったから、お前は寝ててくれ。ろくなことがない…。」


シュミカ「…釘、踏まないなら……飲む?」

俺「飲みません!」

…今後、彼女に渡される食料には気をつけよう…。


殆ど働かないが、神職で僧侶的な能力を持っており、我々の仕事柄無くてはならない存在だ。

基本的に今の出来る仕事で俺たちが目指すものは死体。

アンデットにもよく合うし、目的自体がアンデット化していたりもする。

それらを浄化、成仏させて供養するのには絶対に必要なのだ。


一度、依頼で形見を手に入れて届けるクエストを受け、実は持ち主の霊に呪われてたアイテムを所持させられ、依頼主の下にたどり着いた時に殆どの生命力を奪われてて大変な事になってたことが有る。

あの時の彼女の、ギリギリまで抑えていたのだろう…それまで聞いたことのなかった高らかな笑い声は今でもたまに夢に出る。


…結果的には依頼主の眼の前で浄化することで一瞬でも再会させることが出来、それを好機に少しはこのパーティの評価が上がったのも事実だが…他にやり方もあっただろう!

きっと俺をこちらに引き込んだ精霊とやらはこんな顔をしているに違いない…。


更に言うと最初のパーティで知り合ったと言ったが実はもともと十数人の大きなパーティで、

簡単なクエストを終え野営地で野宿をしていた時にやたら飲まされ、朝気がついたらこの三人以外姿を消していた…というのが事実である。

役立たずと協調性の無い問題児が捨てられたのだ。



「まあまあ、あの峰を越えれば街に入れるはずだよ。後少し、頑張ろうじゃないか!」


そして、いかにも体格のいい強そうなブロンドをなびかせる一昔前のファンタジー洋画のヒーローみたいな青年が、

リアですらどうにも出来ない魔物のご飯になりそうな時に、初めて三人の心が一つになって「たすけてー!」と叫んだ時に颯爽と現れた命の恩人、ギリアさんだ。


そこそこ有名な冒険者さんで大抵のクエストは一人でこなすらしい…が、

困っている者には弱いようで、

三人でも生き残れるように俺たちを育ててくれながらたまにクエストを手伝ってもらったりしている。

おかげで調子に乗って高レベルのクエストに手を出したりしない限りはなんとか生活して行けるようにもなってきた。


そして今回、彼も今後高レベルのクエストの依頼が入り忙しくなるとのことで

卒業試験も込みでこのクエストに誘って頂いたのだ。


なんでも前に世話になった国の王様からの直々の依頼で

近隣の街との流通経路になっている洞窟に住み着いた魔物を討伐して欲しいとのこと。


簡単な話だと、その洞窟が突然の崩落で塞がってしまい、復旧工事を進めていると瓦礫の先に強力な魔力を探知したそうで…。

以来、こんな苦しいルートを使うしかなくなって街も相当苦しい状況らしい。

この辺りのギルドに登録されている冒険者では手に負えそうに無いらしく、念のために旧知の高レベル冒険者のギリアさんに話が来たらしい。


…そんなのに同行しても大丈夫なのだろうか…?


もちろん俺たち三人の役割は戦闘ではなく、その崩落に巻き込まれて亡くなった方々の供養や遺品回収なのだが…。


そんなこんなでようやく峰をこえ、街に入るための護衛の門前にたどり着いた。

基本洞窟を使っての流通経路がメインなので簡単な関所程度の物だ。

一応この街がこの周辺の小さな国の中心であり王都らしいのだが、国の規模や、地理的な問題も含めてそれ程防御的な事に関心がうすいのだろう。


平和な世界、素晴らしい♪


ふと門番の男性がギリアさんを視認すると、パァッとした表情で掛けてくる。


門番「お久しぶりですね♪だいぶ、増えてますよww楽しんで行ってください!

   で、そちらの方々が例の…」

門番さんがこちらをスッと見る。

そうするとギリアさんが俺の肩を掴んで前方に押し出して言う。


ギリア「そう、彼がアレだ!」

俺(アレって何!?)


門番「ようこそ!

   王都クルセイトへ!この度の件、どうぞよろしくお願いいたします!

   異世界の来客者様につきましては国民一同感謝しております!」


   

ギリアさんは優しい笑みを浮かべ、そっと俺に耳打ちをする。


ギリア「まぁまぁ…少し進んでみたら理由はわかると思うよ。

    異世界からの来客者様♪ww」


そう促されて街の概要が何となく掴めるくらいまで進んでから理解した。


ああ~…そっちかぁ~…。

道理でこんなクソ弱小パーティを助けてくれたのか…


初めて会った時はまだ元の世界での服装が残ってたから助けてくれたのだ。


先にも言ったが、この世界の精霊は元の世界にあまり影響を残さないで消えられる

人間を迷い込ませる。

そして暇つぶしだ。


奴らは…やはりそこにも目を付けたのだろう

あの街に集まるのは確実に何かを持っていないか全てを持っているかの人種!

ターゲット探しには最高だろう。


そう、精霊達やこの世界にとって、俺たち異世界の存在は…

文化とネタを与える勇者なのだ!




…眼の前には某有名デンキ街と温泉街が混然としたが何かが広がっていた。

…初めて来たのに既視感だらけだ…。


そして何かちょっと古い!!

この文化を伝えた人は俺よりずいぶん前にこちらに迷い込んだのだろう…。


とは言え今まで立ち寄ってきたどの街もアニメなんかでよく見た中世っぽいもの。

やっぱり俺の夢じゃないのか?

しかし俺の夢なら電気は無理でも魔法でなんとかしてみやがれ!…とか思うが、やはり無理らしい…。

いつか精霊種とやらに会って聞き出したいものだ…。


その為にもまずは目の前のクエストをこなして強くならねば…だ!

こんな街並みごときに怯んでいられるか!

…そのうち超文明とか宇宙人とか出てきても驚かないぞ!


シュミカ「ん…リアはこの街には来たことあるの?」

リア「いえ、初めてよ…。

   リサーチは?」

シュミカ「ん…バッチリ。」

リア「軍資金は?」

シュミカ「ん…例の物+必死に貯めたお小遣い…問題なし。

     多少のハズレも次のステップに出来る範囲!」


…テンションあがってらっしゃる。

そうか、元々こちらの住民の二人にはこの街の情報はあったらしい。


リア「ギリア様!まずは王さまに謁見して依頼の確認よね!?

   そこでこの子(馬)と馬車を預ける事はできるかしら!

   出来れば丁重にあつかって欲しいの!

   そしてこの街のギルドでのあたし達の登録よね?!

   そ の あ と はぁ…」


ギリア「…もちろん!

    それぞれ別行動だ!

    解っているだろうが、お互いかち合っても見なかったフリをするように!」


なんだこのマナーの徹底ぶりは…


ギリア「あと、君たちにとっては初めての街だし、我々は同士…旅の仲間だ!

    道に迷っても大丈夫なように城の客室を使わせて貰えるように

    お願いしておいた!

    困ったら私の名を出して城への道を聞くといい!」


リア「わかってる~♪」

シュミカ「ん…出来る男。素晴らしい。誰かとは違う。」


…強くなろう…せめてこの二人に言い返せるくらいに…。


そして取り敢えずお城に向かう道中、多分この街を知り尽くしているギリアさんが堂々と胸を張って歩いている傍らで一人は馬ごと馬車を運び、その荷車から周囲を見渡してメモをとってる少女二人は目立っただろう。

てか馬降ろして馬車引かせてあげて!

もう宙に浮いたまま歩く動作で必死にアイデンティティ保とうと必死なんですけど!

好意対象に過保護過ぎるのは希少種族故の何かがあるのか…?


まあ、どうでもいい。

後でこの世界の二次元的文化レベルとやらを見定めてやろう。


取り敢えずは王様への謁見を済ませないと先へは進めない。

ギリアさんの顔で何事もなく話は進み、謁見の間へと通された。


主に文化をメインとした商業で成り立っている小国ということもあり、俺的にはこの世界初めての王城という割にはそれ程緊張する程の広さ大きさではない。

それに王様自身も驚く程腰が低い。

もちろん見識のあるギリアさんあっての事だろうが。


王「ようこそお越しくださいましたの。

  そして久しぶりじゃの、ギーちゃん♪」


ギーちゃんて…。


ギリア「ご無沙汰しております!

    以前お会いした時よりも王様っぷりが更に増しておりますぞ!」


二人から始まり周囲の人達へ伝播した謎の高笑い

が少しの間続き…ゲホゲホ言いながら王様が、周囲をさとす。


そして突然ギラリと俺をにらめつける!?


王「さてさて、まぁここでは堅苦しいのは無しとしよう。

  こちらは国とは言え小さな国、王都とは言え小さな街。

  皆が支え合ってやっておるのです。

  特にここは…民衆に助けていただき、

  それで成り立っておる名ばかりのの王国!

  ある文化のおかげで…

  めっちゃ潤っておりまする!」 


うんもうだいたいわかる。


王「まあその辺りの説明はよかろうの。

  では早速今回の依頼について。」


王様が片手を上げると、横から一人の青年が歩み出る。


青年「ギリア様はご無沙汰しております。

   他の方に就きましてはお初にお目にかかります。

   私はこの国の第二王子、ディルノート=クルセイトと申します。

   気軽にディルとお呼びください。」


端正な顔立ちとはこういうのをいうのだろうか?

いかにも国民に好かれそうな好青年だ。

さて、第二王子と言ったな。

第一もいる…もしくはいた…かな?

まあ今は関係ない。

それにこの依頼のメインはギリアさんで俺たち三人の役目は雑務処理みたいな物だ。

深入りしてはいけない。


ディル「ではさっそく。

    この街の生命線、メインの流通経路である洞窟が崩落によって塞がってし

    まい、その復旧工事の最中に強力な魔物の魔力を探知したことについては伝

    わっていると存じます。

    その魔物に関しては、ギリア様とこちらの騎士団で対処していこうと

    思います。」


少し考えながらそこまでを聞いていたギリアさんがスッと手を上げ言葉を挟む。


ギリア「しかし…ここには彼がいるでしょう?」

 

すると、表情を曇らせて第二王子が話を続ける。


ディル「はい…。

    実は…そこからが本題でして…。」


そこまで言いかけると、王座の後ろにある扉が勢いよく開き、元気いっぱいの笑顔で長い銀髪をなびかせたちっこい少女が飛び込んできた。


お姫様だろうか?

エネルギーが有り余っているんだろう、くるくる回りながら走り寄ってくる。


少女「やぁ、ギリアっち!

   ひどいよ、お父様!ボクに内緒にするなんて!

   それと、新しいあちらの客人って、どれだい?」


すごい勢いでまくしたて、俺たち三人を流し見て俺の前にちょこんと立つ。


少女「君だね?あとの二人は魔力を持ってるから、やっぱりこっちの人だよね。」

俺「あ、はい、まぁ…。」

少女「ボクはエイナ!この国のお姫様ってやつさ♪よろしくね!」


俺の手を握りブンブンと上下に振り回し、すっと手放すと次はギリアさんの前に立つ。


姫「久し振りだね♪元気にしてたかい?また色々増えてるよ!早く回ろうよ♪」


そこで王様がゴホゴホと咳き込みを入れ、その場を制する。


王「…あ~…、洞窟の件だ…。」


するとお姫様はピクッと動きを止め、グッと何かを振り切るような仕草をしてから王様に詰め寄る。


姫「ね、お父様!

  用が有るのはギリアっちでしょ?

  異世界の人にこの街を案内してきていいかな?

  いいでしょ?

  …い い よ ね … ?」


…なんか怖い。

まあ、一国の王様も可愛い娘には逆らえないもんだろうな。

よく見たよ、…ドラマとかアニメで。


王「う…ん、

  まあ、後の事はギーちゃ…ギリア殿に伝えておくので、

  お客人はどうぞ…街を楽しんで来てくださいませ…。」


そしてお姫様がこちらに向かって来る途中にギリアさんの前でボソッと耳打ちするのが聞こえた。


姫「ゴメンよ。今回ボクはダメなんだ…。」



すると表情をパァッと光らせて俺の腕に絡みついて引っ張って走り出す。


姫「行くよ!そちらの二人もこんな所つまんないでしょ?この街を楽しんでよ♪」


完全に機能停止のスリープモードに入り込んでいたシュミカに電源が入る。

シュミカ「ん…もちろん。

     僕たちがやることは決まってる。

     効率は大事。」


シュミカはすっと身を翻してすぐ後に続く。


リア「いいのかしら…?」


初めての大きなクエストで緊張していたのか?

普段はちょこちょこ口を挟んでくるのにやたらと大人しくしていたリアは少しオロオロしてギリアさんと周囲の人達に目を配らせると…


王様、ギリアさん、第二王子ふくめた全員が頭を下げ、無言で

「すみません!その方に逆らってはいけません!」

…と、告げていた。


リア「…背筋が凍るわね…。」


…と呟き、リアも小走りで後に続いてくる。




…そして俺は…巻き込まれていく。


…何に?


…それはもう、ろくでも無い結末に…





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