2019/12/18

今さらベトナム史を読んでいる。


著者の、というよりは、おそらく今のベトナム全体における、近代以前への関心の低さが印象的。対する日本における、歴史好きの異様さ。地方史、地方の英雄を育んだ江戸時代の立場。史料の保全という点は、江戸期のいい加減な歴史理解を思えば、あまり関係ないかもしれない。もちろん国民性。とはいえ、武田信玄やら上杉謙信やら土地ごとに英雄を持ち得たことが、何よりじゃないか。


漢字文化圏。阮愛国こと胡志明。いつだったか、博物館の漢字史料がボロボロだったのを眺めて以降、越南国が漢字を捨ててしまった事情がだいぶ不審だったのだけど、端的に、識字率の低さのためであったと見れば納得が行く。

古代と中世、近代の区分をどこに持って行くかは難しいけれど、初等教育、識字率の向上を、一つの画期と見ることもできよう。


朝鮮とベトナム。

とりわけ中国との距離感や、「時代区分」など、かなり類似しているように思われる一方、聞こえてくる国民性や日本への意識差などがかなり異なる印象があり、はてこれはどういうことかと思えば、ベトナムには京族の小中華として、ラオスカンボジアその他少数民族に優越していた歴史があり、また何より、冷戦による分断を自ずから克服して国を統一したところに、一つの理由があろう。

未だに南北分断されて、何だかよく分からないことになっている今の朝鮮半島を見れば、あの時代に北ベトナムが南ベトナムを武力統一したことは「正しかった」というほかない。まして、彼らはアメリカに勝っている。


いずれにしても、今読んでいるベトナム史は、ハノイエリア、北の民によるベトナム史である。

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