こんこんきつね
沖田
第1話
「おい!!また下界にいくのかよー!!」
コンがぴょんぴょん跳ねて、むくれる。
「いい子で待ってたら、いなり寿司買ってきてやるから、我慢できるな、ん?」
ぎんは、これから下界へアルバイトなるものをしに行くのだ。
「ぎんは、ぼくのことが大事じゃないんだ!!だから、そうやって、出掛けに行っちゃうんだよ!!おんなのこにデレデレしてるんでしょっ!!」
「ハァ!?いつでれでれしてたって!?」
「こないだ見たもん!!
ぎんが…ぎんがっ、!!タヌキのたぬ子さんと話してるところ!!
ぎんがそうなら、僕だって辰くんとイチャイチャするからね!!」
コンが、涙目で長身のぎんを上目遣いでみながら、かわいいしっぽを股のあいだに挟めこみ、ぷるぷると震える。
ぎんは、思わずコンを抱き込んだ。
コンの柔らかな、金色のかみに顔を埋める。
「コンは、俺じゃないやつと一緒がいいの?本当に??そしたら、俺寂しいな。」
ギンは、図体に似合わないか細い声で囁いた。
「えっ!!ぎん寂しくないよ!!僕が居るからね!!だから、行かないで!!僕の側にいてよ……おねがい。」
「……」
「だめなの?」
「だめじゃないが、コンはずるいな」
「え?」
「だが、ずるくてもいいか。ずるさも全部俺のものだからな。」
「うん!!そうだよー。ぼくは、全部ぎんのものっ!!ぎんは、ぼくのものだから」
「フッ…そうだな。」
あまい瞳でぎんがコンを見つめる。
互いの熱が吐息の合間に出たり、入ったり混じってひとつになった。
こんこんきつね 沖田 @oktuvl
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