HAZARD

ケルベロス

第1話 決断

 俺は自分が嫌いだ。

 

 小中高とあまり容姿に自信が持てないし、そもそもモテないし、友達すら出来ない。話しかけたら気持ち悪がられてしまう。

 

 もう、生きるのもしんどい。

 

 俺は授業が終わり、帰宅途中だった。

 

 駅の改札を通り、ホームに着く。

 

 すると、電車が通過するアナウンスが鳴り響く。

 

 電車が近づく。俺はそれをじっと見つめる。

 

 轟音を立てながら通りすぎようとする瞬間、飛び降りた。



 あれ? ここは何処だ。

 

 気がついたらホームに立ち伏せていた。電車が通りすぎる。

 

 たしか……飛び降りたよな。

 

 「あのー北川さん?」

 

 俺の名前を呼ばれた。振り返り、容姿を見る。

 

 清楚系の黒髪で赤いブレザーの制服を着ている。かなりの美女だ。

 

 「ここではなんですから」と言われ、手を引っ張られた。

 

 回りの注目を浴びつつ、階段を登り、改札を急いで通り抜ける。すると、彼女の足が止まった。

 

 「貴方に相談があるの」上目遣いで言われた。

 

 「え、えっと何?」

 

 「高校を辞めて、私の学園に来てほしいの」

 

 それはどういうことだろう。

 

 「単刀直入に言うと、貴方にはある“能力”があるの。それは、時を操れる“能力”、その力が発動して貴方は死ねなかったの」

 

 能力。時を操れる力。中二病臭いな……。

 

 「貴方はその力のせいでこの先、苦労することも多くなる。今よりも……」彼女の顔が曇る。彼女は俺の人生を知っているのか?

 

 「それに貴方の“能力”で人も死ぬかもしれないの。だからお願い、貴方のためにも学園に来て!」

 

 人も死ぬ……。それはどういうことだろう。

 

 「人も死ぬってどういうこと?」

 

 「説明は貴方が学園に来ないと出来ない」

 

 俺はゆっくりと考える。

 

 まずどんな学園なのか。

 

 そこに行って一体何になるのか。

 

 深く深くじっくりと考える。そして、俺は答えた。

 

 分かった、と。




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