祭壇場の魔王
佐世保 悟
第1話
樹齢数千年クラスの大森林の中、全てのモンスターが自分に傅く。これは夢だとわかる。夢というものはいい加減で、起きた瞬間忘れてしまう。何度目かわからないこの夢は、一体自分の中でどんな暗示なのだろう。
ボク、海崎カゲトは2限目が終わるチャイムの音で目が覚めた。
群馬県市内。交通事故で学校に強盗が入った。おびえた教師が「何の用だ」と震えた声を出す。
「あなた方には死んでいただきます」
強盗は腹に抱えた爆弾を添加した。強盗は、各学年5クラスある全ての教室に一人ずづ入っていた。
起爆した爆弾が、生徒たちの服を、肌を、肉を、骨を、魂を焼き尽くす。
「痛い」なんていう間もなく、全員が死亡した。
「メロンボール・ジャックポットッ!!」
ひんやりとした感覚が一瞬起こり、瞼を開けると、誰かがボクに話しかけてきた。半透明で光り輝く、限りなく人間ではない天使の様な誰か。
「キミはどうしたい?」
ボクは、少し考えて答えた。
「誰かに認めて欲しかったかな」
自分の瞳から熱いものが流れ出した。17年生きてきて、これといった夢さえ見つからなかった空っぽの自分に虚しくなったのだ。
「キミにはもう少しだけ時間がある。そこでもう少し勉強したらいい。学生らしくね」
パッと誰かから閃光が走り、手で目を覆う。閃光が消え、目を開けると暗く土臭い場所に寝ていた。
「ココは?」
立ち上がろうと手を地面に付き起き上がろうとするとヌルっと気持ちの悪い感触が。
「うげぇ、何だってんだ」
そういって手を学生服のズボンで拭き、土性の壁から光がさす方向へと歩き出した。
心細い中300メートル近く歩いているとギギギギギギと立て付けの悪いドアを引くと、白銀の長髪、長身で優男のような顔つきの男が礼拝を切り上げぱたぱたと近づいてくる。さっきの場所はカタコンベの一室だったようだ。ズボンと手から何か嫌な匂いがしていた。
「ようこそお越しくださいました。異世界召喚者様。さあどうぞ、この世を救ってくださいまし」
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