恋する乙女は妖怪薬剤師! 〜龍の涙と二匹の化け狐編〜

もちお

第一章「龍の涙」

 かつてこの土地の空の上には、『龍』が住んでいたという。


 雨を降らし、いかずちを落とすことができた龍は、その力を使い大地を苦しめた。


 怒った山の大妖怪たちは、龍の子どもを捕まえると、親が二度とこの地に悪さができぬよう、山の奥深くに封印したという。


 愛する我が子を失った龍は、ひどく怒り狂うも、その矛先を大地に向けることはできず、空の上で数百年もの間、嘆き悲しんだ。


 そうしていつしか語り継がれるようになったという。


 天が雨を降らすのは、我が子を失った龍が泣いているからだと……。

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