襲来!バイト先の後輩

第11話


 クリスマスから一夜明けた今日。

 俺はお昼近くに目を覚ました。

 

『岬次郎さんが……私は好きです……』


「………」


 昨日愛実ちゃんから言われた事を思い出し、俺は顔を手で覆う。

 バイト先の女の子にあんな事を言われるなんて、思っても居なかった。

 今日がバイト休みでよかった、どんな顔で愛実ちゃんに会えば良いのか分からない……。

「はぁ……参ったなぁ……」


 俺はそう呟きながら、洗濯機を回し朝食の準備を始める。

 朝はいつも簡単に済ませる。

 トーストを焼き、買ってきたヨーグルトと牛乳を準備して終わりだ。

 俺は朝食をテーブルに置くと、テレビを付けて食べ始める。


『クリスマスから一夜明けた今日、外の世界は一面銀世界です!』


「雪……積もったのか」


 昨日は冷えたしなぁ……今日は家でゆっくりゲームでもしてよ。

 そんな事を考えていると、スマホが鳴った。 どうやら電話のようだ。


「ん? はい、もしもし?」


『あぁ、次郎か?』


「おう、どうした?」


 電話の相手は合コンをセッティングした尾道だった。

 

『昨日はごめんな、女の子一人足りなくなって、お前が遠慮したって聞いて……』


「あぁ、別に気にしてないし、俺は元からあんまり行く気は無かったよ」


『いや、行けって言ったの俺だしさ、悪かったなって』


 そんなの別に良いのに……まぁ、こんな感じで責任感の強いところはこいつの良いところだろうけど。


「気にすんなよ、じゃあ俺はこれから二度寝で忙しいから切るぞ」


『今から二度寝かよ……暇人』


「うっせ!」


 俺はそう言って電話を切り、朝食に戻った。 今日は外も寒そうだし、家の中で一人でぬくぬくしていよう……あ、でもなんか買わなきゃ行けない物とかあったか?

 そんな今日一日の予定を俺が立てていると、今度は部屋のインターホンが鳴った。


「ん? 今度はなんだ?」


 実家から何か送ってきてくれたのかな?

 なんて事を考えながら、俺は寝間着姿のまま玄関に向かいドアを開ける。


「はーい、どちらさ……」


「次郎さん来ちゃいました!」


 ガチャリ。

 俺は再びドアを閉めた。

 そう、ドアを開けて待っていたのは、私服姿の愛実ちゃんだった。


「次郎さーん!! 閉めるなんて酷いです! 寒いです!!」


 思わず驚いてドアを閉めてしまったが、確かに外は雪だし、風邪でも引かれたら困るしな……とりあえず中に入れるか。


「………」


 俺はソーッとドアを開けて、愛実ちゃんの姿を確認する。

 やっぱり居る……。

 

「次郎さん! おはようございます!」


「うん……おはよう……朝から元気だね」


 俺は愛実ちゃんを家に入れて、自分も私服に着替える。

 流石に女の子の前でいつまでもスウェットって訳にもいかないし……。


「んで……何しにきたの?」


 俺はホットココアを愛実ちゃんに出し、愛実ちゃんの正面に座った。


「え? 遊びに来たんですよ」


「遊びにって……なんで俺の家に……友達とどこかに行けば良いんじゃ……」


「むー……次郎さん私の気持ち知っててそれ言ってます?」


 頬を膨らませて不満そうに言う愛実ちゃん。 知ってるからこそ、あまり愛実ちゃんを家には招きたくなかった。

 その理由は昨日の行動からも見て取れる。

 この子は色々と積極的過ぎる気がする。

 そんな子と部屋で二人っきりなんて状況は色々とまずい……。


「まぁ、それは良いです……じゃあとりあえず次郎さんはい!」


「え? な、何?」


 愛実ちゃんは両手を大きく俺の方に広げて何かを待っている。

 一体何を求めているのだろうか?


「次郎さん! 私は寒い雪の中を歩いてここまで来たんですよ!」


「そ、そうだね……」


「さぁ! ハグで暖めて下さい!」


「なんでそうなるの!」


「え! 嫌なんですか!?」


「いや、普通に嫌だよ! 恥ずかしいし……ってかそれ以前にそう言うのは恋人とかと……」


 そう言い掛けて俺は言葉を飲み込んだ。

 この子は俺の事が好きなのだ。

 愛実ちゃんからしたら、そういう事をしたくてただ口実を作っているだけなのだろうが……。


「良いじゃ無いですか! 女子高生とハグ出来るんですよ! しかも美少女!」


「自分でそれ言う?」


 俺はため息を吐きながら、愛実ちゃんにそう言うと、近くにあったクッションを愛実ちゃんに渡す。


「これでも抱いといて、暖かいよ」


「なんでですか!」


 愛実ちゃんは俺が渡したクッションを放り投げる。

 あぁ、俺のクッション……。


「私は次郎さんにぎゅーってして欲しいんです! 減るもんじゃ無いんだから良いじゃ無いですか!」


「それ、女の子が言う台詞じゃ無いと思うよ……」


「良いからぎゅーってして下さいよ! 胸の感触を楽しむのを許して上げますから!!」


「楽しまないよ!!」


 愛実ちゃんは胸を張ってそう言う。

 ま、まぁ……そう言われると少し気になったりもするが……。

 愛実ちゃんは結構立派な物を持っているし……俺も男なので少しその感触に興味があったりはする。


「ぶー……じゃあ良いですもん」


「え? な、何?」


 愛実ちゃんはそう言うと、俺の側にやってきて俺の腕に抱きついて座る。


「さて、じゃあ何をしましょうか?」


「その前にこの状況の説明をしてもらいたいんだけど!?」


 愛実ちゃんは俺の腕に抱きついており、早い話がいろいろと当たっている。

 

「え? だって言ったじゃ無いですか? 早く私を好きになって下さいって」


「だからって……こ、これはダメだよ!」


「なんでですか?」


「え? な、なんでって……」


「私は次郎さんと出来るだけくっついて居たいんです」


「いや、それがダメだって……」


「ダメなんですか? それは私が次郎さんの腕に抱きついているのが、気持ち悪くて嫌だって意味でダメなんですか?」


「いや……そ、そうじゃないけど……」


 言ってしまえば満更でも無かったりする。

 だって……柔らかいし……。


「じゃあなんでダメなんですか? 私のおっぱい気持ちよくないですか?」


「ぶふっ!! そ、その言い方はやめてくれない!!」


 正直……凄く柔らかくて最高です!!

 なんて事を思っていた俺だが、このままでは理性が吹っ飛びそうなので愛実ちゃんをなんとか引き剥がした。

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