隣の席
杏堂 水螺乃
仕事終わり ①
───五時二十分。
仕事終わりの私の息抜きの時間。
近所のカフェで飲み物を飲むのが私の日課。
───カタッ
カウンターに座ると、ほぼ同時に隣に人が座る気配がした。
「カフェオレで」
彼が注文する声が聞こえる。
「私はコーヒーで」
いつもカウンター席の隣に座る彼。
名前も知らない彼。
毎日、彼が注文するものとは違うものを頼む私。
………ひねくれてるかな?
一年前の冬に偶然隣に座った彼に一目惚れした。
その日から、カウンター席に座ろうと決めた。
彼は、いつも私の隣に座るからドキドキして。
注文する時の優しい声にも胸が震えてしまったりして。
仕事終わり、毎日が楽しかった。
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