異世界より今日は。

@Moon-cristal

第1話

誰でも現実から逃れたくなるだろう。

私ーーー麻生まりあもそうだった。

私は16歳、普通の高校二年生だった。

私の場合は失恋。

同じクラスの堀田勝則君が好きだった。

堀田君はスポーツ万能、成績優秀、背もスラリと高く、顔もモデル並みにかっこいい。

当然、女子にモテる。

私は、ずっと告白するか悩んでいた。

それというのも、何人かの女子が当たって砕けろ的な勢いで告白してるけど、全て空振り。

「まりあちゃん、まりあちゃんなら可愛いし、思い切って告れば?」

とは友達の小池和美ちゃん。

和美ちゃんはサラサラショートヘアがよく似合う美人。

が、崖っぷちから勢いで告白したが、あっさり玉砕。

よし、私も挑戦してみよう。

と思い、堀田君を探して探して遂に発見。

校舎裏にいた所を見つけて、近づこうとしたがーーー、1人じゃない?

足音を殺し、近く。

すると、学園1の美少女、桜井エリカ様と抱き合って、濃厚キスシーンの真っ最中。

しかもスカートの中に堀田君がスルリと手を入れ、「あっ」と、小さく声を出したエリカ様の口を再び自分のそれに重ね合わせる。

手が、ゆっくりと動いているのを私はバッチリ目撃してしまった。

身体が硬直して動かない。頭の中は真っ白。

しかも、空いてる手でブラウスのボタンを一個ずつ外し、胸を弄る。

再び、「あっ、いや」と小さくエリカ様。なんとも艶めかしく、私はクルリと身体の向きを変え、駆け出す。

そのまま、学校の屋上へダッシュ。

息を切らしながら、涙が出て止まらなかった。

まさか憧れの人が、三年生のエリカ様とーーー。

私は2人はずっと前から付き合っていた中だと、確信する。

だから、みんな振られていたわけだ。

私はふと屋上から、下を見る。

ーーーここから飛び降りたら、ラクになれる?

思い切って、目を閉じる。

靴を脱ぎ、カバンを抱きしめてーーー、それから、飛び降りた。

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