機械の彼が微笑む時は。

荒城美鉾

【笑い】機械の彼が微笑む時は。

「おかえりなさい博士、お仕事は終了ですか?」

 私の最高傑作ロボットである彼はそう問いかけた。

「ああ。今日は疲れた。出来の悪い論文をどう添削したら良いものか困って…いかん、年をとるとどうも愚痴っぽくなってな」

「いえ博士、続きをどうぞ」

 誰から学んだのだろう、彼は穏やかな微笑みを浮かべた。

「上手く笑うようになったものだ」

「はい」

「情緒面の学習も順調のようだね」

「場面ごとにどのような感情を表現すべきか、多くのサンプルの表情と脳波を分析、学習しております」

「なるほど。では、先程の微笑みはどのような感情の表情かな?」

「『退屈』です。私のことより続きのお話をどうぞ、博士」

 そう言うと彼は、再び微笑んだ。

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