独り暮らし

またたび

独り暮らし

 生きてて寂しい。


「……電話来ないなぁ」


 毎月この日には電話かけてくれるって言ってくれてたのに、ああ薄情な友達。


 窓からは綺麗な星が見える。景色が綺麗なところが唯一ここの素敵なところだ。


 ピコピコ


 電子ゲームをする。古い作品だが隠れた名作だ、若い世代だって楽しめるよ?


 プルル プルル


「はい、もしもし?」


 やっときたか、友達よ。と思ったけど


「……政府のものですが」


 友達はやっぱり薄情だったらしい。


「どうしました?」


「いや、あの。困ってることはないかなと」


「……うーん、特にないですね。あっ強いていうなら電波が弱いです。事実今も完璧には聞き取れてません」


「それは携帯会社の方に電話してください。やはり遠いところに住んでいると、電波的にも不安定なんですかね」


「そんなあ、他人事みたいに」


「まあ引き続きよろしくお願いします」


 ツーン ツーン


 切られたようだ。


 そういえば、結構古い歌にこんなのがあったなあ。


 テレビもねぇ ラジオもねぇ……的な。


 ここはまさにそんな感じ。閑散としてるし。しかも人の温かさまでねぇというね……。


「ああ、それにしても、人はいないわビルもないわ静かなところだけど、景色だけは綺麗だなあ」


 窓から外を見て改めて思う。





 ほら見てあの青い星!


 あれが地球だ。


 そしてその周りにあるは月。


 私がいるのは少し遠いところにある星だけど、いつか人類が移り住むためにも私は研究しなくてはならない。このど田舎を。


 生きてて寂しい。


 これこそまさに独り暮らし。


 でもまあいつか帰れるでしょ……。


 その変なポジティブを抱えながら、今日も私はカップ焼きそばを啜るのであった……。完。

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独り暮らし またたび @Ryuto52

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