第6話 初夏の木漏れ日

「今日は私のワガママで図書館になっちゃってごめんなさい。宮田さんはやっぱり映画とかのほうが良かったですか?」


白のカチューシャに同系の白と紺のワンピースが良く似合う彼女の方を向いて僕はきっぱり言い切った。


「いいえ。今日は図書館に行くのがベストです!


実は僕もね、昨日の夜緊張してあまり寝られなくて。デートにピッタリなスポットって何処だろうって考えたんですよ。ショッピング、映画、ボウリング…結衣ちゃんと楽しく過ごせるのって一体何処だろうって…


でも一周回ってやっぱり図書館で決まりです!」


「そう…?じゃあ…良かったです!!」


緊張のためにいつもより沢山喋ってしまうのと…ちょっと芸人ぽく言ったせいか、彼女は今日一の笑顔を更新して笑ってくれた。


「何を読もうかなぁ…結衣ちゃんは決めてるのある?」


「前から見たいのが置いてあると思うので…宮田さんは普段どんな本を読むんですか?」


「そうだなぁ…本屋大賞!とか書いてあるやつとか…あはは…内容より楽に読めるのを選んじゃうかもね」



初夏の日差しを歩道のそれほど高くない並木が和らげてくれる。

並んで歩く彼女の姿は木漏れ日の光と影のグラデーションで僕にはまるで本当にキラキラ輝いているように見えた。


図書館の自動ドアが開くとヒヤッと涼しい風が僕らを出迎えてくれた。


彼女はお気に入りの書架を見つけたようなので、僕は少し離れた書架を指差して、


「ちょっとあっちを見てくるね。」


彼女はニコッと頷き、そのまま奥の書架へ向かって歩き出した。


僕は少し本棚を見て適当な本を見つけて読んだ…





しばらく経ったようなので彼女の様子を見に行った。


彼女はさっき別れた場所から程近い窓際の席に座って優しい表情で本を見つめていた。


僕は彼女の席に近づいて邪魔しないようにそうっと後ろから覗いてみた。




彼女が読んでいたのは…

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