いいね争奪カクヨムレース対決の大予想

ちびまるフォイ

あなたはもちろんおろそかにしてませんね?

カクヨムレースのファンのみなさんおはようございます。

今年もこの季節がやってまいりました。


カクヨムレースグランプリ、略してカレーの日が!!


解説席にはカレー大好き「ヨガフ=霊夢」さんにお越しいただいております。


「よろしくおねがいしますヨガ」


ずっとその口調ですか?


「作者が設定を忘れるまでは」


ではレースの様子を見てみましょう。

今回レースにエントリーしたのは5名。


これはけして認知度が低いとか作者が思いつきで実施したとか

そういうリアリティのある理由ではなく、あくまでも厳選な抽選の結果です。


ユーチューバーが当たり出るまで抽選したので、

当たりくじがたまたまこの5名にしか行き渡らなかったのです。


選手を紹介しましょう。


1番 「激安・ノ・デンドゥー」選手


「降ってきた――! 俺に神の啓示が降ってきた――!!!」


天を仰いでやばいことを言っていますが、

今回の出走者の中ではもっとも筆が早いアイデアマンとして、

すでに会場内からも彼の健闘を期待する声があります。



2番 「ロックタイタン」選手


「私ハ其ノ文学ノ水脈(みなすじ)ヲ書スリ給ウ」


その硬派な文体と緻密な構成力は出走者ナンバーワン。

狭く深く、次代に流されない唯我独尊なスタイルでレースに挑みます。

なお、彼のセリフの少なさは口調の扱いにくさがもっぱらの噂です。



続いて、3番 「なろう太郎」選手


「ここが異世界か……。ステータスオープン!」


タイタン選手とは対象的にライトでテンポのよい文体が特徴です。

笑いとセクシー、熱いドラマにシリアスな展開。

目についた、話題になったものを貪欲に吸収して作品に落とし込みます。



4番 「  」選手


「みなさん、よろしくおねがいします」


空白ではありません。なにもないと書いて空気と読みます。

まさにダークホース。何を考えているのか全くデータがありません。

というか、これまでの1作も書いたことがありません。


誰にでも丁寧で優しく気遣い上手なおばあちゃん子と近所で有名です。



最後の5番 「葉っぱじゃないよカエルだよwwwwwww」選手


「棒がいっぽんあったとさwwwwwwwwカエルじゃないよwwwwwwどう見間違うんだよwwwww」


時代に切り込む風雲児ことカエル選手は鋭い切り口のエッセイスト。

さまざまな評論やエッセイや自伝小説を書くリアリストです。

創造と現実のガチンコマッチが見られるのでしょうか!?



さて、選手5人が出揃いました。ヨガさんのイチオシは誰ですか?


「短編はやっぱり安定してるし、かといって長編もあなどれない。

 異世界はいまブームだしエッセイも人気あるよね」


つまり何もわからないとのコメントです。


はじめてカレーをご覧の皆様にも簡単なルール説明をさせていただきます。


これから5人の選手はそれぞれカクヨム内で小説を投稿していただき

そのいいねの数がもっともゴール目標値に早く達した人が優勝のレースとなります。


優勝者には賞金が渡されますが、この賞金は必要経費も兼ねております。


レース出張中のあらゆる費用はこの賞金から賄われます。

さっさとゴールするほど高い金額で賞金が得られ、

ダラダラしながらなし崩し的にゴールしても賞金は得られません。


「スランプとかいう言い訳で筆を辞める人への対策ですね」


では張り切って、レースをはじめま……あーーっと!!


すでに! すでにレースは始まっています!!

なんということでしょう!?


「うおおおお!! 筆が止まらねぇぜぇぇぇ!!」


なんと最初に頭ひとつ抜けたのは短編の名手「激安」選手。

さすがに早い。あれよあれよと書いては投稿を繰り返し「いいね」を稼いでいく!!


「短編はこういうところが強いですよね。

 常にフレッシュなものを投稿できるから新規さんが入りやすい」


「スピード・イズ・ジャスティス!!」


激安選手がどんどん差を広げていきます。

このままゴールへと独創してしまうのか……おや? 様子が変ですよ?


「あ……アイデア……ネタ……ネタぁ……」


これはどういうことでしょう。

激安選手さきほどの勢いはどこへやら。

まるで階段を降りるおじいちゃんのような遅さになっています。


「新規の話を書くということはそれだけに頭をつかう。

 それに、数と引き換えにクオリティが落ちているから、

 新しい人が入っても見限って離れる人も出てきますからねぇ」


猛烈なスタートダッシュを決めた激安選手ですが大きくブレーキ。

その後を追うのは粛々と長編を書くタイタン選手と  こと空気選手。


空気選手も書き終えましたが、所詮は1作目。

多くの「いいね」を集めることができず差は縮まりません。


「フッ、チートブーストだ!!」


あっと! ここでなろう太郎選手が急激にスピードアップ!!


冒頭のテンプレ転生説明パートが終わったことで読者が本編へ到達。

さらに必殺のラッキースケベを前倒ししたことで「いいね」を稼いでいく!


「悪いな。俺には新鮮なアイデアも緻密な設定も不要だ。

 この電子の海に漂流している数々の異世界小説を読んで

 そこから抽出したエッセンスを使えば常に書き続けることができる!!」


太郎選手、ついに1位の激安選手を抜いて首位へと返り咲きました!


やはり異世界は強い!! 人気ジャンルの力は強い!!

異世界というジャンルそのものが好きな層が厚いために読者が跡を立ちません。


「ハハハハ! せいぜい自己満足小説でも投稿しているがいいさ!」


太郎選手ますます独創を……おや!? おややや!?

あれは……エッセイストのカエル選手が猛スピードで追いついています!!


「よく見てください。彼の小説を」


あ! カエル選手が投稿したのは……批判エッセイです!!



『異世界という名の思考停止を書くのはもうやめろ!!!』



あまりに挑戦的なタイトルですが、これもエッセイストならでは。

物語に引っ張られる作品とは異なり鋭い切れ味の言葉を並べることができます。


「異世界wwwwwwwwwwマジオワコンwwwwwwwwwww」


独創を続けるなろう太郎選手の小説内容を分析という名を借りて

これをボロクソにこき下ろすエッセイですがこれが大ウケ!


大人気小説としてランキングを席巻しています!!


「エッセイはランキング競争が激しくないので残りやすく、

 人気作を題材に批判することでアンチ票を集めたんですな」


やはりリアリスト! やることがしたたかです!


「ぐぬぬ、邪道ごときが勝てるわけ無いだろう!!」


なろう太郎選手は持ち前の煽り耐性のなさが爆発。

ここでますます差を開けようと更新を重ねましたがこれが裏目です!


雑なヒロインの追加でかき分けができなくなり、

行き過ぎたインフレとやりすぎたテンプレで読者は離れるばかり!


ついに首位の王冠はカエル選手へと移りました。


「このまま独走間違いなしだwwwwwwwwwwwww」


カエル選手は攻撃の手を緩めません。

批判エッセイだけでなく、ネットで調べたような小説作法をまとめて投稿!

入門書という形で初心者層を集める狙いです!


このまま独走といくのでしょうか!?


「いや、よく見てください。あ、ヨガ」


カエル選手。いいねが増えてゴールに向かうどころか、徐々に離れていっています。

これはどういうことでしょう?


「ぐっ! たかが1回をいつまでも当てこするんじゃねぇ!!wwwww」


あっと、カエル選手! ここに来て炎上にさらされています。

どうやら作中でドヤ顔で書いた内容が間違っていたようです!


批判エッセイなどを書く作者に求められるのは良識と分析力。

人を批判するとその人より優れているように思われるがそんなことはなかった!!


いいねは増えるどころか炎上で一挙一動が逆に批判対象とされてしまっています。

もはや息を吸って履くだけでも酸素の無駄だと言われるでしょう。


しかし、この機をじっと待っていた選手がいました!!



「我思フ。故ニ我アリ」



出ました! 長編作家タイタン選手!!


他の参加者が失速したこのタイミングで一気に長編探偵ものの推理解決パートに突入です!

しかも事前に最後までオチを決めているから筆に迷いもよどみもない。


マイペースですが確実に、そしてそのクォリティは他の作品のどれよりも高いです!!


最後はやはり長編が勝つのでしょうか!?



「いいや、そうはさせないぜ!!」


あっと! 序盤でフェードアウトしていた短編の名手・激安選手が戻ってきました。

こんがりと焼けている肌からは海外からの凱旋を予感させます!!


「さぁ、ここからがパーティだ!」


激安選手、どうやら自分が手に入る優勝賞品を切り崩し

それを海外旅行に当てたようです。なんという向こう見ずな出費でしょう。


「いいや、そうとも限らんヨガ。海外は日本と価値観が違う。

 向こうでメジャーな童話もこっちでは珍しかったりもする。

 海外をいったことで得られるアイデアは国内の300倍ヨガ(当社比)」


「うおおおお! いくぜいくぜーー! 優勝できれば賞金なんていらねぇぇーー!」


激安選手はスタート時のような速度で追い上げる。

もはや自分の賞金を捨てでも優勝という栄光に見せられたのでしょう!


しかし他の選手もそこはけして譲りません。


タイタン選手の長編はさらに新しい探偵が出てきての推理バトル!

エッセイの新人賞を取るための手法という作品を出して訴求力を高める!

異世界小説の太郎選手は歴代の死人キャラを復活させて、オールスター!


ゴールテープはいったい誰が切るのか――!!







ただいまのレースの結果をお知らせいたします。



1着    選手



お立ち台にはなにもない空気があがった。


「いやぁ、空気選手、優勝おめでとうございます。

 まさか1作しか書いてなかったのに優勝とは驚きました。

 今回の勝因はなんだったと思いますか?」


空気選手は笑ったような気がした。


「いただいたコメントに丁寧に返信したことだと思います。

 コメント頂いた人に丁寧に接すればそこから自然と評価されますから」



あなたの予想は当たりましたか?


次はぜひあなたが出走してみてくださいね。

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