第18話 取り憑かれてるんだね

男子「駅前の真ん中に、こんな廃墟ビル……あったのか? 全然知らなかった。」


女子「鈴木くん、来てくれたのね、嬉しいわ。もしこのビルに、大好きな妹の死体が埋まっている……と、したら。(そんなことないよぉ。)……彼女ね、死に顔も可愛かったわ。(私、殺してないからね。)……鈴木くんは、妹が初体験で、それからも妹に依存してるんでしょ?」


男子「言ってる意味が分からん……。」


女子「嘘つき! 盗聴器……、私全部知ってるの。そんなに妹が好きなら、このビルで鈴木くんも一緒に殺してあげる。全部、妹が悪いんだからね。(悪くないょ。悪いのは、私だよぉ。でも、これは妖魔のせいかも……。)」


青年「あれー、君たち何してるの?! 変だなぁ、ここは誰も入れない場所なはずだけど。――ああ。妖魔ってことは……。そうか。納得ができたよ。――取り憑かれてるんだね。」


男子「取り憑かれてる?!」


青年「そうさ。あの女の子、ほうっておくと本当に君を殺すよ。僕は、いろいろと見えるんだよ。で、君は自分が何者か忘れてるみたいだね……。」


男子「(どう言う意味だよ? なんだこの男の微笑みは……。この世界は、やっぱり変だ。田中さんと隣席になったあの日から、俺の世界は変わり始めていたのかもしれない……。)」

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