報告書
肆の月 54日
とある村の実験により生み出された人型の異形について
当初の予定では“
その時点で実験動物β-153の物質を配合させ、後方支援型の女に孕ませた
結果、身ごもった状態で力が増幅し女は耐えきれず死亡
しかし、腹の中にいた異形──実験体βは女の死体を栄養素として、骨まで残さず“喰った“と思われる
事実、実験体βは赤ん坊の状態で、実験場の実験室と言われる家屋内に“存在“していた
実験体βは有機物を栄養素とするようで、無機物である家具等には齧られた形跡だけがあった
家屋内にいた虫や、世話係でもあった監視役の腕を喰べた記録が残っている
監視役のインタビューは私怨による私語が多かった為、次のように記録した
・まず、容姿が赤ん坊でもあり、排泄物や食事の世話をさせようとしたところ、まだ歯も生え揃っていないと思い指を齧られた
・齧られた当初、齧られた被害者は甘噛み程度の力だったと言われた
・しかし、一齧りにて数秒経ち、腕の状態を見たところ肩までを喰われた
従って、実験体βは生まれた状態で身体は人間以上の力を持つと予想される
また、当時生後4ヶ月の状態ではあったものの、無意識下による力の増幅があった為、半径5m以内にいた実験場の複数の監視役が
死因は、先程申した通り能力向上による脳死である
その為、能力向上に耐えれる監視役を配置し、食事等は一定の距離を保ちつつの最低限のものを与えさせた
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拾参の月 1日
記録的豪雪ではあったものの実験体βの様子は安定
家屋内にて、全裸ではあったものの寒さや暑さは影響しないことが判明
この時点で産まれてから2年経過しているが、容姿は成人男性になっていた
実験動物β-153の影響であると推測する
以後、継続的に観察を行う
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弍の月 60日
12年間、実験体βには最低限の食事をさせた
排泄物は自身で片付けさせ、それ以外は、簡単な絵と少量の文章を載せた冊子を渡し、経過観測した
その影響もあってか農作物を育てるようになった
敵意は見られず、また遠くを見るような行動も取っていたが変化は見られなかった
また、当時の監視役のインタビューでは次のように記録した
・能力向上はあったものの、軽度になり、興奮することも少なくなった
・監視役の話をよく聞き、言葉を繰り返す動作が見られたが学ぶことに楽しさを感じていたようだった
この時点で7歳程度の知能を身に付けたと推測できる
また、“能力向上“を制御出来ると思われる為、実験場の管理をしていた■■にも接触可能の指示を与えた
以後、経過観測を続ける
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録の月 27日
実験体βが脱走した
当時監視役であった者のインタビューでは次のように記録した
・頭がぼーっとし、実験体βの言われたことをやった
・むしろなぜ実験体βを拘束する必要があったのか意味がわからず、施錠も解除した
この時点で精神操作が可能と判明
監視役には[処分内容については本部から閲覧許可を得てください]を与えた
実験体βの行方は未だ捜索中
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以上の記録用紙、複数枚を加えた生首が■■の月 ■日に小包として本部に届きました
現在捜索中のため、市民の方々はくれぐれも危険な行動はとらないよう気をつけてください
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