秋季東京都大会(予選編)
秋季東京都大会。この大会に優勝した高校は今秋の神宮野球大会と、来春の選抜甲子園出場が確実になる、非常に重要な大会だ。まず、本戦に出る64校を絞るための一次予選が、9月いっぱいの土日祝日で行われる。二回勝てばベスト64、10月の東京都大会本戦に駒を進める。試合はいちばん早くて、9月の第1週だ。
一次予選では、全校が20くらいのブロックに分かれ、各ブロックに8~12校。それがさらに、基本4校ずつの山に分けられ、トーナメント戦を行う。勝ち上がった計64校が本戦に行けるシステムだ。
各ブロックには当番校が1校ずついて、予選の会場を提供するなど、運営に携わってくれる。大変そうだが、当番校は試合が可能なグラウンドを持っている野球強豪校がほとんどで、シード校の側面も兼ねている。組み合わせは比較的有利になるわけだ。
我が渋谷学院は、専用のグラウンドがなく、週末の練習試合は都内近辺の球場を使っている。野球部自体もあまり強くはないので、当番校になれるのはいつの話になるのかわからない。
渋谷学院は計8校のブロックに入った。4校ずつの山でA代表、B代表の2校を決める。西東京のグループに、東東京の渋谷学院と都立
当番校は目大三高。中学時代のチームメイトである、永井がいる高校である。しかし幸か不幸か、目大三とは別の山になって予選での対戦はない。会場は、
渋谷学院の試合日程は、1回戦が第2週の日曜日、2回戦が第3週の土曜日となった。
◇ ◇ ◇
試合前のミーティングを部室で行う。司会進行役は、日笠監督が行うのが慣例になっている。
「1回戦の相手は
まずはスケジュールの合間を縫ってビデオ撮影に行ってくれた、女子マネージャーをねぎらう。
「唯ちゃん遠かったねー」
「はい。遠かったです・・・」
2年生の
都立八王子西高校、夏は初戦である2回戦で姿を消している。ビデオを観る限りでは、投打ともにこっちが圧倒してるように思う。
「主戦の
「適度な荒れ球になると厄介・・・てことか。で、総合的にはどうかな?」
「おおよそのプランはできています。バッティングは練習通りにボールをよく見ること。外野の守備範囲が狭く、ヒットゾーンがやや広めですので、強振して外野に強い打球を放つと、長打になる可能性が高いです。守備はオーソドックススタイルがベストだと思います」
相手は強くはないが、渋学だってそんなに強くない。せいぜいシードを狙えるかどうか、の位置だろう。楽に勝てる相手はいない。
「しっかり打って、しっかり守ろう」
日笠監督の言葉で、ミーティングは終わった。
◇ ◇ ◇
そして1回戦当日の日を迎えた。渋学のスタメンは以下の通り。
1(中)大橋
2(三)中島
3(二)高橋
4(遊)相川
5(一)矢作
6(左)森山
7(右)竹中
8(捕)大西
9(投)田所
新チーム結成後、しばらく試行錯誤していた打線だったが、9月に入ってようやくこの布陣に固まった。新チームのエースは、1年生左腕の
試合の方は、1回裏に4点を先制した渋谷学院が、7対2で八王子西高校を下し、無事2回戦進出を決めた。投げては先発の田所が2失点に抑え、133球の完投。打っては高橋さんが2本塁打を放つ暴れっぷりだった。そして俺も5打数4安打で、ホームランも1本放つというおまけ付きであった。
◇ ◇ ◇
続く都立
1・2回戦を無事、勝ち進むことができた渋谷学院は一次予選を突破。目大三・和瀬田実業・帝道とともに、10月の本戦に駒を進めた。
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