資料館

その寂れた民俗資料館の情景は

想い出の中では

いつでも夏の終わり

遠く近くに蝉の声がする


海へ行った帰り道に

決まって立ち寄っていた小さな資料館

バスは日に数本しかないから

焼けるような太陽の下

砂埃の中 をと歩く


資料館の中はひんやりと薄暗い

探検するように巡っていく

不思議で静かな空間が続く


神聖な儀式のように

わたし達は毎年、それを繰り返したのだった


想い出の中では

あれはいつも夏の終わり

白い日傘にサンダル


遠く近くに蝉の声がする

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る