にじのまち

ある雨上がりの日に

虹がかかったんだよ


それが普通の虹と違って

人から人にかかって


あっちの男の子の胸から

こっちのおばあさんの肩に

そっちの女の子の頭から

向こうのヨチヨチ歩きの赤ちゃんのお腹に


友達同士もいれば

全然知らない同士もあるけど

誰かが誰かに必ずかかっているから

何だか離れがたくってねぇ


しばらくしたら虹は消えたけど

あれから不思議に雨上がりには

人から人に虹がかかるんだ


それで街をつくったんだよ

にじのまち


ねぇ キミも

よかったら虹をかけていかないかい?


何が起こるわけでもないけど

人と人の間にかかる虹は

失くしてしまったきずなのようで

なんだか


とっても懐かしいような

泣きたいような気持ちになるんだよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る