第2章 光と「ウール村」

第34話 年齢/età

 村へ向けて出発して2時間。

 最初の休憩をとった。


「やっぱり、おいしー!」

 ルージュは湧き水が大のお気に入りのようだ。


 ルージュではないが、運動の後は確かに美味い。

 この湧き水がもう簡単に汲み行けないとなると、それはかなり残念だ。

 ヒカリは、その気になれば方法はあると言っていたが、まさか水道管を繋げるとは思えないし。


 まぁ、部下が上司の考えについて、心配しても仕方がない。

 こういうアイデアは出来る上司が出せばいいし、どうせ何かしなきゃいけないなら、それは上司ではなく、部下がやるはめになるのだから。


 それに、今は湧き水よりもいろいろと聞きたいことがあるのだ。

「落ち着いたところで、ちょっと聞いてもいい?」


「何?」「はい」

 二人が答える。


「さっき1年が4百何日かって言ってたよね」


「403日です」

 アマリージョが教えてくれた。


「で、二人の年齢聞いたとき15と14って言ってたっけ」


「私は14で間違いないです」

「そうよ」


「年齢は1年に一回増えるんだよね」


「アホなの?当たり前じゃない」


――ルージュには言われたくない


「ヒカリ、一年が少し長いってことは・・・」


『そうですね。1年が長いということは、この世界といいますか、この星は公転周期が・・』


「違うよ、二人の年齢の話」


『あ、そちらでしたか。一応だいたいでよろしければ、地球の換算でいくと、お二人とも1歳半ほど年が上ですね』


「まあ、でもそんなものか。二十歳はたちくらいだったらどうしようかと思っちゃったよ」


『だからと言って、よこしまな気持ちは抱かないでくださいね』


「何言ってるの・・・冗談だよ、冗談」


「さっきから、なんの話よ?」


「俺たちがいた世界だと、二人はもう少し年齢が上だったって話」


「クロードがいたとこってそんなに早く年取るの? そんなの絶対嫌だわ」

「それは確かに困りますね」

 ルージュとアマリージョが不満げな顔をしながら言う。


「まさか・・・クロードと一緒にいると早く年取るとかはないわよね?」


「そんなことあるわけないだろ。年齢の数え方が違うだけで、実際、年を取るのが早いとかじゃないんだから。・・・・そうだよね?」


『日数で計算すると同じですね。ただ年の取り方については、こちらの世界は魔素があるので、おそらく衰えも遅いと推測されます』


「やっぱり!そうだと思ったわ!」

ルージュがなぜか勝ち誇った顔をしていたので、話を切り上げて出発することにした。


「じゃ、そろそろ行こうか」


「えっ ええ・・・」

「はい!」


 また、荷物を担いで歩き出した。

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