アナグノリシス ~ゲーム初心者は無能ベテランとネトゲする~
軽見 歩
冒険への誘い
序章 初期設定
時はいわゆるSFでよく見る様な、まるでその世界に入ったような感覚になるほどのフルダイブVRが実用化される前の近未来
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「良かった、業者にクリーニングと調整頼んだからもう新品同様ピッカピカ!」
仕事で使っている今のパソコンが調子が悪くなり買い換えようと同僚に相談したところ、ネットゲームに付き合うのを条件に同僚から古いVRPCをもらっう事になった。今はそのセッティング中だ
「これで良いのかな? えっと・・・、よし、ちゃんと初期化されてるみたいね」
古いと言っても今の家庭用VRPCとは比較にならない情報処理速度を持ったゲーミングPCだ。椅子と一体型となったチェーアー型で座り心地は抜群、頭に乗せるVRユニットは背もたれに固定され、操作用アームは先端を掴み上げ引っ張ると使用者の身体に合わせ勝手に伸びて調整してくれる
「後付けで椅子に固定する家庭用とは全然違う! 凄い楽!」
VRユニット、アーム共にそれらのパーツには使用者の動きに合わせ勝手に動き疲労を軽減させる機能がついていて、ちょっとしたパワードスーツのような雰囲気だ。ベットに寝てる時によりも楽かもしれない
「さてと、初期設定は終わったし。例のゲームをインストールしないと」
VRに表示されるアイコンを操作し、同じくVR上のキーボードで情報を入力していきゲームのインストールを行った
「うわぁ・・・、インストールに10分もかかるの? 適当な動画でも見てようかな」
ゲームをインストールしている間、暇なので動画サイトで適当な動画を見ていみると、スピーカーの性能の差に驚いた
「音が立体過ぎて気持ち悪! 慣れるまで大変かもコレ・・・。あ、終わった」
インストールが完了し、動画サイトを離れてゲームにログインした
「古いゲームと言っても緊張するわねやっぱり・・・」
今のゲームはそれぞれのジャンルに特化し過ぎていて操作が複雑で素人が手軽に手を出せる物ではなくなっていた。ゲームをスポーツと称するeスポーツというものがあるがでれもまさにそんな感じである。大会ではフーリガンまで出没する始末だ
”ようこそ アナグノリシスへ”
しかし同僚に勧められたこのゲーム、アナグノリシスは少し毛色が違うらしい。基本は冒険物のファンタジーなのだが、出来ない事はほとんどないくらい様々な事ができ、農業や土地の開拓、料理などの製作業、釣りや狩猟、商売、レースなど様々なジャンルを比較的複雑化させず行う事ができ、サービス開始から8年たった今でも衰えない人気ゲーム・・・・、らしい
”アナタの代わりに冒険するアバターを製作してください”
種族を決め、リアルとの体格差が離れすぎないようにとのアドバイスにしたがって体型を調整し、音声入力でゲーム内で発せられる声の合成具合をいじり調整していく
「めんどくさい・・・」
顔を調整し初期装備を決め・・・・、たのだが、気に入らず作り直しているのを繰り返してかれこれ1時間かかってしまった
「・・・・なんだかんだで時間かけてしまった」
”プレイヤーネームを入力してください”
「なまえかぁ・・・、これでいいかな」
私はメアリー・アプリコットと入力した
”審査中・・・、使用可能な名前です。さあ冒険の旅に出かけましょう”
そうメッセージが表示されると霧で覆われたように視界は真っ白になり、作品のデモムービーが始まる
"異なる文化の国家が混じり合い誕生した多世界連合国家アナグノリシス"
「宇宙船みたいなのが見えたけど結構SF色の強い作品なのかしら?」
”その世界の大多数を占める、汎用性に優れた種族ヒューニティ”
「私が選んだ人間に近いやつね」
”自然界と魔力と深いつながりの中で生きて来た種族エルフ”
「魔法や鋭い感覚を生かした遠距離が得意な種族だったっけ? これでもよかったかなぁ」
”大地と共に生きる種族ドワーフ”
「力が強くて鉱物の探索が得意とか意味わからなかったけど、これ使うのどんなプレイヤーなのかしら?」
”かつてこの星を捨てた民の末裔であり、優れた科学技術を持った天空からの帰還者アンセス”
「魔法苦手な種族ね。ファンタジーやるのにそれは無いでしょ」
”そして科学と魔術の融合で生まれた新たな種族スピーシー”
「半分生物のロボットみたいなやつだ。体格を一番自由に設定できる種族ね」
”これら種族は初めは反目し合い争そっていたが、今は協定を交わし平和に暮らしていた”
「ほうほう」
”しかし、突如アナグノリシスに時空の裂け目が広がり、そこから這い出して来たデモンズの登場により再び戦火に突入した”
「よくあるヤツね」
”アナグノリシスの各種族軍はこのデモンズと戦闘し多数の血を流が、徐々に領地がデモンズに奪われる事になる”
「このゲームに魔王を倒す勇者とかいないのか」
”戦乱により国家の治安も悪化する事になる。そこで大きな組織であるがゆえに柔軟に動けない軍では対処が難しい多種多様な問題を解決するため、他国から募った傭兵組織を基盤にした組織、
「お、来た来た冒険者」
”少数精鋭の彼らの活躍によりどうにかデモンズからの進軍を食い止める事に成功する。そしてその冒険者を目指し海を渡る者が居た、メアリー・アプリコット、キミだ”
「同僚に誘われてやるだけです。世界を救う気がなくてゴメンナサイ」
”さあ、あなたの冒険が今始まる”
デモが終わり再び視界は真っ白になっていく…
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これが私の、ゲーム世界で出会った仲間達との日常の始まりだった
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