止まる

歩く

ひたすらに歩く

その先にはなにがあるのだろうか、どういったものが広がっているのだろうか

道は続いている

踏み慣らされているということは誰かが歩いたのだろう

それも一人ではなく多くの人が歩いたはずだ

もしくは誰かが最初に歩き私のように軌跡を見つけその先の誰かを求めて歩いたのかもしれない

彼ら彼女らが一人だったのかそれとも複数で居たのか定かではないが、誰かと出会える可能性があるのならば歩みを止める理由にはならないだろう


歩く

まだまだ歩く

道を逸れれば動植物があり食事には困らなかった

時折誰かの落とし物と思える物品が見受けられた

それは眼鏡、ハンカチ、靴や衣類など様々である

しかし落としたら困る物ばかりでそれでいて統一性がない

家族かそれとも恋人か、まさか団体なんて可能性もある

どれもこれも見つけてその人物を想像し思いを馳せては置いて歩みを進めていく

必要そうなものは拝借し先を目指す


歩く

果てなき道を歩き続ける

町のようなものは見えず、ましてや人影すら見えない

本当に生きた人間が踏み慣らした道なのだろうか

落ちている物はどれも風化しているわけではないのだが、それでも新品ではない

亡くなって幾年過ぎたのだろう

いや、何百年と前に亡くなっているのかもしれない

歩いても歩いても何も見えず不安だけが募る


歩き、疲れ果ててここで誰かを待とうか

私以外にも誰かがこの道を見つけるはずだ

ならば私がここで町を作ろう

誰かを受け入れるために、ここを訪れるかもしれない人のために

歩みを止める

終わりではない、これが始まりになるのだ

この歩みが無駄にならないために

私が最初の人になるのだ

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