召喚したらスライムだった件

TK

第1話 召喚!僕のドラゴ……ん?

 召喚魔法。それは人外の存在を使役する力である。

 術者が異界に意識を向け、それに応じて魔物を呼び寄せる。

 人によっては稀少な鉱石等を触媒に、より強力な魔物を呼び寄せる。だがそれができるのは金銭的に余裕のある魔術師だけだ。僕にはそんな余裕はない。

 だからこそこの一回に掛けたのに……。

 「どーしよう」

 ボクは魔法陣の中心でウゾウゾしている半透明の物体を見つめながら考えた。

 古今東西召喚といったらドラゴンだ。召喚獣は数あれど、誰に聞いても先ずドラゴンを挙げない人はいない。それほどドラゴンは代表的ま存在なのだ。

 僕はドラゴンが欲しかった。食事を切り詰め服も極力同じもので済ませ、少しづつ貯めたお金で触媒を買った。全てはドラゴンのために。

 だというのに召喚で出てきたのはスライムだった。

 ブワッ

 「ないちゃうぞ!ボクないちゃうぞ!」

 床の敷物を濡らしながら僕は言った。

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