無関心
きょん
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『友達に戻ろう』
このたった6文字が僕たちの関係を断った。
中学3年の梅雨、彼女は1通の手紙と貸していた漫画を紙袋の中に入れメモ用紙を袋に張り付けそれを返しに来た。
生憎、僕は不在だったため彼女は僕の友人のトシにそれを渡し、僕に渡すように頼んだらしい。
「さっきお前の彼女が来てこれ置いてったぞ」
「ん?あぁ、悪いありがとう!」
そう言って僕はトシからその紙袋を受け取った。
貼ってあったメモ用紙にはこう書いてあった。
『中に手紙が入っています。絶対に後悔するから家に帰ってから読んでください。』
何だろう?そう思った僕は手紙を出してその場で読んでしまった。
『君と一緒にいるときは凄い楽しかった。でも、ずっと考えてた事があって昨日の夜この手紙を書きました。ごめんね、友達に戻ろう。私を嫌いになってもいいし、もう漫画も貸さなくていいよ?本当にごめんね。』
読むんじゃなかった…
その後、何度も読み返したが間違いではなかった。
それは、彼女から僕に別れを告げる手紙だった。
初めての彼女からの手紙に少し期待した自分をバカバカしく思った。
「何故」その言葉で僕の頭の中がいっぱいになった。
友達と一緒に下校しているときも、遊んでいるときもそのことで頭がいっぱいだった。
その悩みと悲しみを振り払うかのように僕は手にしていた軟式野球ボールを思いっきりコンクリートの壁にぶち当てた。
少しすっきりした気がした。
まるで手を離した瞬間に僕の思いをボールが全て吸い込んでくれたようだった。
その日の夜、家に帰った僕は夕飯を食べているときも風呂に入るときも彼女にフラれたことで頭がいっぱいになっていた。
僕はどうしようもなくなって彼女にメールを送った。
『手紙読んだよ、あれは本気なの?』
『うん...ごめん...』
『また付き合うのとかは無理?』
『ごめんね、これだけは言わないといけないと思ってたんだけど...
私、好きな人ができたんだ...だから...ごめん』
『そっか...それじゃあ仕方ないよね。じゃあ、またこれからは友達ってことで
よろしくお願いします。』
『こちらこそ!
ふふふ、嫌いになってもいいのよ?』
『そんな簡単に嫌いになれるかよ(笑)』
こんなメールのやり取りをし、僕らは友達という関係に戻ったのだ。
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