目覚ノ参 talk
オペレーターの自室、やけにここも広い、が機材やら何やらで埋まっている。雑多という訳ではないが。
「おや、Lも一緒だったんですね」
「ええ、さっき通路でばったりと」
「私がぶつかってしまってな……それに起きたばかりでイマイチよく分からない事が多い」
「なるほど、とりあえず私はオペレートを交代して寝ますね。ふぁあ〜」
「……激務だったのか?」
「いえそんな。退屈なだけですよ。眠くもなりますので。では、おやすみなさい」
そう言うや否や、オペレーターはベッドに入って眠ってしまった。退屈とはいったい何だろうか?
「あー、やっぱりオペレーターさんでも退屈だと眠くなるんですねぇ」
「普段はそうでもない、と」
「はい。それこそ化物じみた活動時間でオペレートしてますから。はは、敵いませんよ。さて、ケイトに繋いで……」
ようやくKと話が出来る。そう思うと何か不思議な感覚が私に降りてくる。
――ザッ、ザザー
『よお、カイト。交代か。いやー退屈だぞ、退屈』
「でしょうね〜、オペレーターさん、寝ちゃいましたよ」
『だろうなぁ』
「あ、ケイト? 嬉しい報告があるんだけど……」
『なんだぁ?』
「ふふふ、さぁ、どうぞ!」
突然ヘッドセットを渡された。なるほど、そういう事か。カイトも面白い奴だな。
「あー、Kか。Lだ、先程目覚めた」
『んおっ! いきなり来たな……身体の調子はどうだ?』
「良好だ。色々と感謝する」
『よせよ、私はやりたい様にやっただけさ。それよりわざわざ無線飛ばしてきたんだ、何かあるんだろ?』
「ああ、そうだな。出来れば一部は面と向かって話したいが」
そうだ、無線より間近で話がしたい。一応デリケートな話題といえばそうだからだ。
『ふーん。まぁいいや、私は帰るまで後1週間はかかりそうでな。それまではヴェインと手合わせするなりなんなりしてヒマでも潰しててくれ。カイトー、ヴェインは確か休暇だったよな?』
「はいー。ケイトに仕事を回してるのでお休みです」
『たぁー! それを言うなよ〜』
「仕方ないですねぇ」
『あーあ、義手が安定してりゃこんな仕事さっさと終わるのによぉ』
聞けば今の仕事は化物モドキ、本当の意味での失敗作の掃討。普段なら接近して掃討する様だが義手の加減で遠距離狙撃をしているそうだ。それがとてつもなくヒマらしい。
「……本当にすまないな。私が未熟なばかりに」
『気にすんなよ。確かに義手は不便だが腕の一本持ってかれる様な戦い出来たのは嬉しかったんだぜ?』
「そう言われると助かる」
「あー、ケイト? お話中悪いけど12時方向に大きな反応アリだよ」
『っと、マジか。うっかりしてたぜ。この
「大丈夫とは思いますけど一応射程距離に入ったら言いますー」
『はいよー。んじゃLよ、またな。多分端末貰ってるだろ? それにヴェインの連絡先入ってるから呼び出しゃいい』
「分かった。感謝する」
それだけ言ってオペレーターの自室を後にした。
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