Calling18 不調

――カランカラン………

 いくつかの空薬莢が同時に床に落ち、私らの手合わせはとりあえず終了した。

「ふー、まあまあだな」

「私も同じく」

『やっぱり二人とも凄いですね……スコアはまるで同じ、寸分の狂いなく命中しています』

 カイトからの感想……というよりは分析結果が発表される。どうやらシステムにハッキングして忍び込んだ様だ。シレッとやるあたりは流石のオペレーター仕込みってトコだな。

「えぇー、私の方が抜くのは早かったろ?」

「いえ、それは私の方が」

「いーや私だね」

「いえ、私です」

『あわわ、二人とも言い争いはやめてくださいよ。どちらも同じでしたから』

「そうなのか? うーむ……」

「カイト君の言う事が信用出来ない、と?」

「いや待てそれはない。カイトが言うなら信じる以外にないからな」

『えへへ、そう言ってもらえると嬉しいです! あ、そうだ。Lさんさっきの手合わせ楽しそうでしたね』

「楽しそう? 私は特に何も……」

「私は楽しかったけどなー。カイト、どうしてそう思う?」

『ふふ、画像を見れば一発で分かりますよ。はい、転送しました』

 なんの事かはイマイチよく分からんがとにかく画像を見てみると……ああ、なるほど、そういう事か。

「ははは、L。お前、こんな顔できるんじゃねぇか」

「!」


 口元綻ばせた良い笑顔、ハイになりかけてる顔だ。


「私にこんな記憶は……」

「なんだ、覚えてないのか?」

 ん? コイツ、様子がおかしい。

「私は、私は……」

「おい、どうした? いきなり頭抱えて」

「ううう……ぐっあッ! わ、私に触れるな!」

「ちょ、おい待て!」

 私が差し出した手を突然払いのけて扉の向こうへ行っちまいやがった。何だぁ?

『……何か悪い事しちゃったかな、ボク』

「いんや、カイトは何も悪くないさ。ちょっとばかし何か思うところが奴にあっただけだろ。気にすんなって」

『はい……』

「それより私のデータ取ってくれないか? まだなまってるみたいでな」

『あ、分かりました! じゃあ基礎的な動きからお願いします』

「はいよー」

 ま、私自身の回復に専念だ。アイツの事は後でいい。仮にも私と同じ、あるいは超えてるとかいうんだからアレくらいじゃ何ともないだろ。


「よっ、と!」


 さてさて、先ずは基本の蹴りからいこう!






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