6.秋の訪れ
ずっと快晴だった天気が急に悪くなり、気温が低くなる。
暑かった夏が終わり、湖畔の村に秋が訪れようとしていた。
「タスクさん、キキョウさんとの子作りからずいぶんと時間が開いてしまいましたが、今度こそはいっぱい出来るといいですね」
ニウブが、いつものニコニコ笑顔で言ってきた。
僕らは、寺院の食堂で夕食を食べているのだ。
食べ終わったら、お風呂に入って、カルミアが来るのを待たないといけない。
「はぁ……」
「どうしたんですか、タスクさん?」
ニウブの胸元では、紫に輝くアメジストが揺れている。
僕の思いとは裏腹に、ニウブはようやく訪れた子作りの機会に興奮気味に期待しているのだ。
……ニウブの望みなのは分かってるけど。
僕の心は、童貞卒業よりも大切なものを失うんじゃないかという不安におびえていた。
そして、この世界に来た当初に、カイリの村の性奴隷ノエルに聞かされたことが思い起こされる。
「この世界で、女に恋しちゃ……命とりになるぜ」
どうしようもなく好きな子が、他の誰かと関係を持つ事を望んでる。
こんな狂った状況に僕は耐えられるのだろうか?
そんな思いが頭の中を駆け巡っていた。
食事後、入念に身体を洗い、裸のままベッドの中に入る。
何も手に付かないまま、ただジッと待っていると、ノックと共にカルミアの声が聞こえて来る。
「入るわよ」
いつもと変わらないやさしい雰囲気の笑顔をたたえて、カルミアが傍にくる。
「ベッドに入って良いかしら?」
「ど、どうぞ」
カルミアは掛け布団を捲って入ってくる。
そして、着ていたローブを脱いでベッドの外へ投げ捨てた。
僕は、ガチガチに緊張してカルミアに背を向けている。
「焦らなくて大丈夫よ」
カルミアは後ろから耳元に囁いた。
そして、ベッドの中の僕の背中に胸を押し当てる。
ついに、その日がやって来たのだ。
ベッドインする前に考えていた、少しはリードしてやるぞという気持ちは緊張でとうに失せていた。
「こっち向いて」
「は、はい」
ゆっくり回転して、カルミアの方を向く。
目の前には、僕と違って落ち着き払ったカルミアの顔。
「キスしてくれる?」
「ヒェッ?」
「うふふ、しょうがないわね。こっちからリードしてあげるわ」
そう言って、いたずらな微笑みを見せた後、彼女は僕に口づけをしたかと思うと、その舌を強引にねじ込んで来た。
「うぐぅぐぁ……あふ!」
「はむ、あうむ! うーん」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、息が出来ない。息が出来ないですカルミアさん!」
いきなりのディープキスに、僕は恐怖と興奮とで心臓がバクバクになる。
「あら? ごめんなさい。いつものクセで……」
「激しすぎですカルミアさん! も、もっと、ゆっくりお願いします」
「ふふ、可愛いわね」
そう言うと、今度は優しく僕を愛撫しながら、舌を首筋に這わせてくる。
「あふっ……」
激しい攻めからソフトタッチに代わったおかげで、何とか冷静さを僕も取り戻し、愛撫される快感に身をゆだねることが出来た。
「私の事も触ってくれないと寂しいわ」
「え?」
カルミアは僕の右腕を掴むと、自らの胸へと導いた。
滑らかで柔らかな感触に感動した僕は、本能の赴くまま、両手で彼女の胸を揉みしだく。
「くぅうん! あぁ……」
「はぁ、はぁ、カルミアさん凄いです……。ふがっ!」
興奮気味に揉みしだいていたら、カルミアが僕の頭を抱きかかえて胸に挟みこんできた。
豊満な胸にパフパフされて、僕は顔面で快楽を味わう。
少し息苦しくなった僕は、顔を背けた拍子に唇が蕾に触れた。
「ひゃう!」
カルミアが、ビクンと上体を反らした。
段々慣れて来た僕は、自分からも動こうと、蕾をパクっと咥えて吸い付く。
「あう、あん。うふふ、タスクくん、赤ちゃんみたい」
「しょんなこと、ないでふよぅ……」
「痛っ!」
カルミアが声をあげた。
僕が吸い付きながら喋ろうとして、歯を立ててしまったのだ。
「あ、ゴメンなさい!」
「良いのよ。もっと優しく噛んで……」
「え?」
「噛んでほしいの」
「わ、分かりました」
僕は、恐る恐る蕾に吸い付きつつも歯を立てた。
「ああ、はぁーあー! イヤ、もっと!」
それからカルミアの指示の元、前戯をたっぷりと続けた。
そして、いよいよ僕が何度目かの仰向けになると、カルミアは僕の硬くなった逸物を握った。
彼女は僕の下半身へと降りて行くと、掴んだ怒張の上へ唇を近づけて自らのツバをいやらしく垂らしていく。
そしてついに、潤滑油がわりの唾液にまみれた僕の逸物を……。
「入れるわよタスクくん」
「はい……」
消え入りそうな返事をした僕の上に跨り、そのモノを受け入れようとした。
……その刹那!!
「カーマイン様!!! あっ……。お取込み中でしたか?」
いきなり部屋に飛び込んで来たひとつの黒い影。
「ヴァ・ナ・モ……?」
「え……?」
「どうぞ、そのままーお続けくださいー。終わってからでー私は良いですからー……」
声を上ずらせたヴァナモは、両手で顔を隠しながらも、開いた指のあいだから僕らをガン見している。
しかし、居た堪れなくなったのか回れ右して部屋の外へ向かおうと……。
「「ちょっと、待てい!!!」」
「申し訳ございません!! ニウブちゃんにここに居るって言われて! 修道女のままだとすっかり勘違いを! なので、そんなことになってるなんてつゆ知らず……」
床に頭を擦りつけて土下座するヴァナモの前には、腕を組んで裸のまま仁王立ちするカルミア。
僕は、シーツを被りベッドの中に体育座りで魂が抜けた状態。
「で……。何しに来たの?」
「そ、それなんです!申し訳ございません! 実は、バレちゃったらしくて」
「教皇にってこと?」
「カーマイン様の愛するあの黒髪のお方が、エルピスさまだったなんて思わなかったものでして」
「エルピスって?」
僕はシーツから頭を出して聞いてた。
カルミアは頭を抱え天を仰ぎ嘆く。
「ああ、ややっこしくしてくれたわね!」
そんな混乱の中、部屋の扉からニウブが顔出す。
「あ、あの~!」
「今度は、なにー?」
「お客さんが、いらっしゃいま……」
「カーマイン姉さま!」
「カーマイン!」
ニウブの言葉を遮り、づかづかと部屋に侵入してきた二人組がいた。
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