完結

「見てて、見ててね。」

「見てるよ、いいからやれって。」

「やるよ、やるからね。」

「やれよ早く。」

「見ててね、絶対見ててね。」

「やれバカ。」

「行くよっ。」

「おう。」

「アイハブ ア ペ~ン。アイハブ ア ペ~パ~。ウーンッ。」

「ほう。」

「ペーパーペェンッ。」

「はいはい。」

「アイハブ ア ペ~パ~。アイハブ ア ペ~ン。ウーンッ。ペンペーパーッ。」

「ほうほう。」

「ペ~パ~ペ~ン。ペンペ~パ~。ウーーーンッ。」

「ほうっ。」

「ペェーパァーッペンッペェーッパーッペンッペンッ。」

「おおぉっ。」

「どうっ、凄くない今の新ギャグ。」

「いるよ。」

 俺は目の前の友達の目を見つめる。

 友達の目はとても澄んでいた、汚れを知らないとはまさにこのことだろう。

「それな、ペンとペーパーじゃなくて、ペンとアップルと、ペンとパイナップルでやってるやついるよ。」

「いやいや。」

「いやいや、いるんだよ。気持ちは分かるよ、俺も、途中で言おうかどうか迷ったもん。もう、あれじゃん、まんまだったから。本当は途中で突っ込んだ方がいいのかな、とか思ってたくらい。あの、それはねぇ、本当にそっくりなのよ。これは、無理だよ。」

「いや、ちょっと待ってよ、ペンと、何、えぇと。」

「アップルとパイナップルな。」

「いや、ちょっと。はは。」

「おぉ。どうしたとうとう壊れたか。」

「ペンの相方はペーパーに決まってんじゃん。なんで、食品なんだよ。」

「知らねぇよ。」

「いやいや、確かに、俺はあれだよ、ネットとかテレビとかかなり疎いけどさ、それは騙されないよ。その嘘には騙されないって。」

「いや、嘘じゃないんだって。俺も、売れた時、嘘だと思ったけど、嘘じゃねぇんだって。」

「それは、どれだけ有名なの。」

「日本の総理大臣がやったりしてる。」

「天下取ってんじゃん。そのギャグ。」

「アメリカの大統領もやってる。」

「ワールドワイド過ぎない。」

「武道館でライブやったらしいよ。」

「いやいやいやいや、それは嘘だわ。ちょっとそれはないよ、アメリカの大統領でもう気づいてたけど、いやぁ、ごめんなさい、なんかあれだわ。お前のこと、ちょっと幻滅したわ。その質の低い嘘。」

「うん。分かるよ。お前の気持ちはねぇ、分かるよ。」

「アメリカの大統領行ってからの、武道館ライブっていう、あれね、その地に足を付けに来た感じね。それが小狡い。いやぁ、マジで小狡いわぁ。」

「パンチパーマの黄色い人だからな。」

「何が。」

「そのギャグ考えた人。」

「へぇ。」

「しかも、バックについてるプロデューサーは魔王だからね。」

「はい、それは嘘だ。」

「嘘なんだけど、本当なんだよ。」

「はい、もう自分でも辻褄合わなくなって分かってるくせにぃ、はい、そういうこと言っちゃうー。」

「もう、しょうがねぇんだよ、そう名乗ってるんだから。もう、魔王なんだよ。いいの、それは、それよりさ。お前、それさ、グレードアップさせれば、いいんじゃねぇの。」

「何が。」

「いや、だから、ペンとペーパーじゃなくてさ。何か、もう一個足せばいいじゃん。」

「あぁ、猫とか。」

「恨みがあるの。」

「じゃあ、犬とかかなぁ。子どもの頃ほら。」

「恨みがあればやっていいわけじゃねぇんだよ。」

「じゃあ、人とか。」

「お、脳みそバグって来たか。」

「どうかなぁ、ピコ太郎とかは。」

「お前っ、今っ。」

「何が。」

「いやっ、あのっ、えっ、なんで、その発言して、そのリアクションなの。」

「バカのくせに叫ぶなよ、うるさいな。」

「え。俺、俺がリアクション間違えてるのかな。えっ、嘘でしょ。お前、それ嘘だよな。」

「じゃあ、何か、電話とかどうかな。」

「あぁ、うん。まぁ、その、お前がいうならやってみたら。」

「じゃあ。アイハブ ア ペ~ン。アイハブ ア フォ~ン。アイハブ ア ぺ~ぱ~。ウーーンッ。」

「はい。」

「ペーパーフォンペーンッ。」

「なるほどなるほど。」

「アイハブ ア ペ~パ~。アイハブ ア フォ~ン。アイハブ ア ペ~ン。ウーーンッ。」

「ほい。」

「ペンフォンペーパーッ。」

「ほお。」

「ペーパーフォンペーンッ。ペンフォンペーパーッ。ウーーンッ。」

「はいっ。」

「ペーパーフォンペンペーパーフォンペーンッ。」

「おお。」

「あっ、なんかつかんだわ。これいけそう。」

「おう、なんか正気を疑う発言が飛び出したけど、まぁ、おまえが納得してるならいいや。」

「あ、ごめんな、なんか、こんな深夜の公園に呼び出して突き合せちまって。」

「いや、いいよいいよ。面白かったし。なんか、その深夜とは思えないテンションで楽しかったし。でもさぁ、ちょっと気になるんだけど。」

「うん。なになに。」

「お前、ペン持ってるよね。」

「持ってる。」

「ペーパー持ってるよね。」

「持ってる持ってる。」

「フォン持ってるよね。」

「持ってるねぇ。」

「お前、今、腕何本使ってる。」

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