人外殺しは、人外の夜に何を思うか

菅原十人

人狼殺し

 人ならざる者は、この世から抹消すべきである。

 理由は簡単。それらは、偉大なる神が作りし世界にいてはならない異物だからだ。

 だから、殺す。慈悲など、与える必要もない。



「グウウゥ・・・・・ッ! 」



 俺を睨みながら、そいつはこの世を呪わんばかりに唸り声を出している。

 それは、人狼。

 人と狼の、二つを兼ね備えた半端者のことを指す。



「死ぬなら早く死ね。そんな睨んだところで、何かが変わる訳でもないだろうに 」



 下半身と上半身がほとんど離れかけて、なお生きている。

 この生命力だけは、十分に尊敬に値するのだろう。まあ最も、こいつらに尊敬など微塵もくれてやる気はないが。



「ああ、そんなに運命に抗いたいか。・・・・・悪いが、貴様如きに時間なぞかけられない。だから俺が、幕を閉じてやろう 」



 俺は、刀を握り直す。

 魔殺しの刃。魔を地獄へ突き落とすのに、これほど適した業物はあるまい。


 生意気に俺を睨む、人狼めがけ。


 刀を振り落とした。

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