第2話
「今日もうまかったな」
角が生えた一人の男が、満足そうに微笑む。男の名は、アイル。アイルは、女の精気を糧として生きているインキュバスだ。インキュバスときいて夢の話だという人もいるが、夢ではない。それはなぜか。寝ている時間に精気を吸われているため夢として処理されてしまうからである。しかし、その逆のサキュバスもいる。サキュバスは、男の精をもぎりとる役目をしている。寝ている間に勃起し、いつの間にか治まっているのはこのせいだ。かといって、インキュバスとサキュバスは兄妹ではない。別の生き物である。また、その二つの生き物が交わった事例がない。
「明日はどの女にしようか」
インキュバスは、適当に女を選んでいるわけではない。欲求不満でやりたくてしかたがない女しか基本襲わないのだ。インキュバスは女が望むシチュエーションの通りに進める。最近、人間も性欲が止まらないのもいるため食糧には困らない。ただし、地域によって変わるため何度も同じ人間を糧としていることが稀にある。そして、誰であっても気持ちのいい朝を迎え、あの事を夢としか思わないのである。
アイルは、精力を高めるために休憩所へ急いだ。基本、インキュバスは朝方になると魔界へ行き、近くの休憩所で体を休める。どの魔物でも使えるように自由な空間となっている。だが時々、どこかの上級の悪魔たちが争っていることもある。吸血鬼に悪魔や魔女。休憩所には多くの魔物が集まっていた。どうやら、一階は埋まってしまったようだ。アイルは、休んでいる魔物を尻目に二階へ急ぐ。二階にも、空いているところがないほど魔物で溢れていた。よく見ると同族のインキュバスが休んでいる。アイルは少し遅かったと気づいた。しかし、ひとつだけベッドが空いていた。二つのベッドに挟まれる形で。アイルは、即座にそのベッドで休み始めた。
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