「好き」がわからない(2)ー好きじゃなくてもいい!ー
むしろ、結婚してから正式につき合い始めたくらいな感じの私たちだったので、私も結婚してからさらに深くM夫くんを知ったわけで——。
一目惚れとはすごいものです。よく知りもしない…とも言える相手と結婚させてしまうのだから。
で、(1)で書いたような話に軽くショックを受けながらも、面白いので、私は友だちたちにそのことを話してた。
すると、たいてい「(ノロケいただいて)ごちそうさま♡」とか「それはテレであって、本当はみさえのこと絶対好きなんだよ」とか言う。
いやいや、私は自信がある。M夫くんをよく知ってるから。彼は自発的に思ったことしか言えない、超が付くほど正直でウソがつけない人なのだ。
私のことをどれくらい好きかの話をしてる時も、M夫くんは「自分はこんなに好いてもらってるのに、同じくらい返せなくて申し訳ないと思っている」とか「(一方的に思ってもらってばかりで、お返しできなくて)自分はなんて甘えてるんだろうと思っている」とか、真顔で言ったりする。あれは本心だと思う。
でも、私も同じように思うようになっていたのです。
「好きじゃない(でもキライではない?)のに、いっしょにいてくれて、私のペースや私のしたいことに合わせてくれてるなんて、なんて奇特な人だろう?」「好きじゃないのに結婚してくれて、ずっといっしょにいていろいろしてくれて、申し訳ない」「そんな人(感情ではなく理性で動く人?)と結婚できたことはラッキーだったのかも!?」などなど。
考えれば考えるほど、すごいことだ!
私だったら、好きぃ〜〜♡とまで思ってない相手と結婚するとか、ずっと一緒にいるとか相手に合わせるとか、そんなのできない気がする。いや、できない気しかしない。
てことは、私の「好き」をこんなに一方的に受け入れてくれる人と一緒になれて、私はすごく幸せ者だ。もう、同じかそれに近いくらいこっちも好きになってもらおうなんて、そんなことどうでもよくなった。むしろ、特大の感謝しかない。
今のこのままで、私の方はこんなにも十二分に幸せなんだから。
そして、そんなに好きではないとか言われたりしても、やっぱりそういうM夫くんを丸ごと好きで、面白いと思ってしまう私、どんだけ夫LOVEなのか。。。
結婚してから、M夫くんと長いつきあいの友だち(男)に紹介された時のこと。
お互いのあいさつが終わってすぐに、その人が感心したように私を見ながら「いるんだね〜〜マニアが…」としみじみ言った。
それだ、それ! 私はM夫くんマニアなのだ。
仕事から帰った時や先に寝る時など、私が台所に立っていると、M夫くんは私の後ろに来ておでこを私の肩にスリスリする。「ただいま」とか「お休み」の合図らしい。
そんなことが、天に昇るくらいすごくうれしい! だって、私のこと大して好きじゃないM夫くんが、私との生活に慣れて自ら編み出した様式なんだから。
こんな組み合わせの二人だけど、すごく毎日がうまく回っている。これってもう奇跡だ! って私は思うわけです。
なんなら、M夫くんは私とじゃなきゃダメだったんじゃないの!? とまで自負しております。それに、この世に私以上にM夫くんを好きになる人なんて、いないんじゃないの!? とまで、うぬぼれております。そこは、誰にも負けない自信あるんで。
M夫くんメモ:
「ねこ飼いたいな〜」と言ったM夫くんに、「どうする? ねこがかわい過ぎて、私が今ほどM夫くんにかまわなくなってもいいの?」と訊いたら、「う〜ん、どうだろう、そうなったら、物足りないとか思ったりするのかなぁ」と考え込んでいた(笑)。
「あのねぇ、今日思ったんだけど、私、M夫くんのこと『好き』じゃなかった」と言ったら、「えっっ!?」と驚いていた。それから「『好き』じゃなくて、『大好き』だったぁ!♡」って言ったら、すごくホッとしていた(のを、私は見逃さなかった)。
そういうリアクションを起こさせる気持ちは、M夫くんの中では「好き」という概念とはつながっていないらしい。。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます