辛いものを食べると…ー私ってお子ちゃまだった?ー
ある年のお正月、M夫くんの実家で義父母とその息子たちは、代わる代わる頭にティッシュをあてて、ティッシュにポツポツと汗の跡がつくのを見ては大笑いしていた。
私はと言えば、その様子をタジタジと見てるしかなかった。
彼らは、ハバネロなんとか言う超激辛スナック菓子を食べて、「辛いものを食べて頭から汗を出す」のを楽しんでいたのでした。
そもそも、何かを食べると頭に汗が噴き出すという現象があることを知らなかった私は、お酒も入ってゴキゲンでそんな遊び(?)をしてる人たちを前に、ひたすら戸惑っていた。まだ結婚数年のころだった。
そう、M夫くんの家族は、そろいもそろって辛いもの大好き家族なのだ。
おせち料理を食べるのにもチューブ入りのわさびが欠かせなくて、一回の食事で結構な量が減る。
私も辛いものはキライじゃないと思っていたけど、彼らを見てると、自分は「好き」と言っちゃいけないと思わされる。お子ちゃまレベルだ。この遊び(?)の時も、私がふだん激辛カレーとか食べないのなら、参加しない方がいいと言われた。
M夫くんは、カレーはもちろん大好きだし(2回目はごはんなしでカレールゥだけをお代わりする)、回転寿司に行けば「追いわさび」して食べてるし、お刺身はわさびを醤油に溶かずにのせて食べるし、山椒、一味、七味、からし、ゆずこしょう、チリペッパー、ラー油、タバスコを見事に使い分けて食事をしてる様は、「上級者」と言わざるを得ない感じすらする。
てか、そんな人、見たことない。
そして私は、自分がタバスコを年に何度か買う日が来るとは、思ってもみなかった。タバスコって、いちいちこんなにちゃんと使い切るものだっけか??
もっとすごいのは、私たちよりも先に結婚していた次男のお嫁さんが、これまた無類のわさび好きで、ちくわを一本食べるのにわさびのチューブ一本を使い切った伝説の持ち主だと言われた。
本人に確認すると、それは大げさだけど、ちくわの穴にビッチリわさびを詰め込んで食べるくらいのことはする、とのこと。本人は笑って言っていたけど、聞くだけで眉間にしわが寄るのは、私だけじゃないよね?
涙目になりながら「涙、出ないんですか?」って訊いたら、「ツーンと来るのをうまく逃がすことができる」らしい。
おそるべし。。。
ここまで来ると、顔の中に何かほかの人とは別の器官とか装置とか持ってるに違いないと結論づけるしかなく、それ以上追及してない。
というわけで、今日もM夫くんは辛いものを食べ、頭の汗を拭き拭きしている。
そして、私はそれを見て、またしても珍しい生き物の生態を観察する気分を楽しんでるのでした。
M夫くんメモ:
とはいえ最近、M夫くんは健康を気にして、辛くしないで食べることがある。
確かに、辛いものを食べ過ぎるとよくないという話はある。
M夫くん本人も、昔より胃が弱くなったとか言っているので、控えるのはよいことだ。
なのに、それだと生態観察的にはちょっと物足りないと思ってしまうのは、妻としていかがなものか?
反省すべし!
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