転生貴族のいない幕間
ふー、だいぶ落ち着いた今でも思い出すけど、ブルードラゴンとの戦いはギリギリだったなぁ。指輪の力なしには絶対達成できなかっただろう。これで非転生貴族最年少って、ちょっとしたズルというか詐欺のような気もするけど良いのかな。
積極的ではなかったけど約束通り両方のドラゴンの素材が揃って、エルダ姉さんとデリラの機嫌はすこぶる良い。二人してキャッキャウフフ言いながら素材を加工している。
ボロボロになった盾も素材を追加して修復してくれるようで楽しみだ。その他の出来上がるアーティファクトはお披露目近くになるまで秘密らしい。二人からのご褒美と思って楽しみに待つことにしよう。
終わってからブルードラゴン戦の課題を余計に意識するようになった。魔術障壁の構築や鋭刃化なんかはルーチンで訓練に組み込んでいるし、合間合間にドラゴンとの戦い方をイメージしている。
たぶん、一撃必殺でない戦い方もあるのだろうけど、かなりの余力が必要になりそうだから、今の僕ではできなかったってことだろう。もっと強くなって魔力を鍛えて、魔術の多重発動や並行処理になれないと無理という想像はつく。
何の気もなしに剣を抜いて刃を見つめる。刃先の上に魔力の刃を作る。もっと細く真っすぐに強靭にとイメージしていく。
刃の作り方や魔力の動かし方も複数のパターンがあるらしいことは後から聞いる。もっと自分に合った鋭い刃の作り方を研究中だ。潤沢な魔力を投入して、対象を削り取る様に射出するやり方もあるらしいけど物凄く疲れそうだ。
衝破の魔術技法もかなり荒い使い方しかできないから課題が大きい。あれを対人戦で使うにはかなり発動の速さと切替に繊細な制御まで必要だ。エルダ姉さんはできるらしいが、大物狩り以外で普通はいらないから無理しなくても良いって言ってた。
剣をしまって魔術障壁の練習をする。薄い膜を一つずつ重ねていく、硬さや厚さを変えたり、形を変えていく。他に何処からでもどの角度にでも展開できるように訓練する。
実用レベルだとなんとか四重障壁まで使えるようになったが、まだまだ問題が山積みだ。因みに対人戦だと普通は後者のような器用さの方が重要みたいだ。そっちの使い方も憶えないといけない。
後からデリラがレッドドラゴン戦で展開していたのが、七重障壁と知って改めて差を思い知った。そうだ、複合障壁も教えてもらわないと。
郊外の訓練場に行ったら走り込みをする。地面を整地する魔術を使用しすぎて、だいぶ岩の表面がツルツルになってきた。足場の悪さの種類を変えてみるのもいいんだろう。風の魔術で作る足場の訓練も続けている。どうにもロスが大きいし、まだまだ高く飛べないがとりあえず使えるようにはなった。
エルダ姉さんなら強固な障壁を盾に突撃して空中を駆けて、ドラゴンの頭をかち割るなんてこともできたのかなぁ。デリラも遠距離魔術でボコボコにできないことはないと言ってた気がする。素材がボロボロになるみたいだけど。
それにしてもビックリしたな。ドラゴンを丸ごと入れられる収納魔術。目の前でドラゴンが中空に消えていくのを見た時は目を疑った。
前世に集めたアーティファクトなんかも入っているらしい。容量の底知れなさが凄い。
もう直ぐお披露目で忙しくなるだろう。
転生貴族は複数の国の爵位持ちなのだ。それは国家間の争いに不用意に参加させないための処置でもある。
つまり、今回の場合は近隣国を含めた三ヶ国の国王がお披露目に参加するというちょっと想像もつかない事態になっている。
しかもそれだけでは済まずに三つ子の中で僕を最上位の主賓としたお披露目にすると姉妹は盛り上がっている。その為に出す手紙の量や準備が半端なく、デリラに貰ったペンの有難さが身に染みる。
「さーて帰るか。今日は三日煮込んだドラゴンの頬肉って言ってたから楽しみだな。煮込み鍋が大きすぎて笑ったなあ。」
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