第9話 お見舞い
「それってどういうことなんですか!?」
俺は思わず叫んでしまった
「おいおい声がでかいぞ小宮」
と担任は少し驚いたように言った
「あ、い、いやすいませんつい」
普段はこんな大声出せないのになんでさっき...
いや今はそんなことより
「それで犬塚さんが病院ってどういうことなんですか?無事なんですか?」
鶴田先生は淡々と犬塚の状況を話してくれた。救急車に運ばれた原因、怪我の具合、病院の住所など。
「それじゃあ、色々とありがとうございました。」
俺は今にでも走り出したい気持ちを抑えて丁寧に鶴田先生へお礼をした
「ああ、まあ女に恋するのはいいが程々にな」
鶴田先生はそう言いながらニコッっと少し冗談ぽく微笑んできた。
,,,相変わらずサングラスはしていたけど
俺はその場を後にしてすぐさま先生から教えてもらった病院へ向かった。
病院へ向かう途中色々考えた。
なぜ俺が初対面のやつにここまでしてるのか、しかもだいぶ酷い事を言われた相手に
それはきっと俺が俺という人間は犬塚あかねに一目惚れをしてしまっていたから。
俺のボケットにあるこのハンカチを届ければ何かあるかもしれないそんな根拠もない期待に俺は突き動かされていたのかもしれない。
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俺は体から汗を吹きだしながら病院の受付を済まし病室114号室へと向かった
平日の昼間ってこともあってかご年配の人が多くみられた
病院独特のアルコールの匂いを感じながら別病棟の114号室を目指して歩く
5分くらい歩いたところで『114号室』と書かれた病室の前にたどり着いた
ドアの前で今日何回目かの深呼吸をする。
そして心の準備ができたところで
コンコン
と二回ノックした。すると中から
「どうぞー」
という少し大人っぽい声が中から聞こえた。
汗ばむ手をワイシャツで拭い縦長で鉄製のドアハンドルを掴み横へガララと音を立てた開いた。
そこにはベッドで寝ている犬塚と20歳くらいの少し茶色が混ざったロングヘアの女性がパイプ椅子に座っていた。
「こんにちは、あかねのお友達?」
と穏やかな表情で尋ねてきた犬塚の姉らしき人はそれはとても美しくて
「は、は、はいそうです」
と噛みまくるは声は裏返るはと散々だった
そんな俺を見てその女性は少し笑顔を見せたあと
「そっか、あかねに友達できたんだ...よかったね、あかね」
と意味ありげに少し悲しそうな顔して呟いた。
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